プロフィール
争いの絶えぬ未熟な世界に降臨した『虚ろなる導き手』。負の感情を糧とし、すべてを無に還すことで人の子らを苦しみから救わんとする。立ちはだかるは人の子らの意志を尊重し、共に歩む『時の紡ぎ手』。世界の存亡をかけた戦いに導き手は敗れ、対となる紡ぎ手と共に消滅した。だが忘るるなかれ。導き手は人の子の業より生まれ、子が望めば再び現れるのだ。
ミリーナの一言
ジュニアはメルクリアのために、ナーザ将軍を甦らせようとして神の力の具現化を行ったのよね。帝国に身を置きながらも、一人でそこまでする行動力は小さくてもやっぱりフィルだわ。その結果現れたシュヴァルツは恐ろしい存在だったけれど、グリューネさんやセネルさんのおかげで事なきを得た。セネルさんが言ってくれたように、この世界はたとえ嘘でも偽物でも、みんなが生きている。虚無に還すなんて、絶対にさせないわ。
イクスの一言
すべてを無に還す神のような存在……。セネルたちの世界に現れるまでは、他の世界を滅ぼしてきたんだろうか ?きっとその世界の人たちも戦っただろうし、もしかしたら対抗するような神様もいたのかもしれないな。俺たちだってエンコードの影響がなかったら危なかったと思う。そんな相手に、元の世界のセネルたちはどうやって……なんて、あれこれ考える資格は俺にはないけれど。それにしても、どうして神様が仮面をつけていたんだろう。神様でも隠したいことがあるのかな ?
Character | # | |
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これは具現化されたシュヴァルツがセールンドを目指しているときのお話です。 | ||
シュヴァルツ | ……何者だ。 | |
エルレイン | さすがに気づきますか、異世界の神よ。やはり、すべての力を持ち込むのは不可能だったようですが。 | |
シュヴァルツ | その気配、ただの人の子ではないな。 | |
エルレイン | ええ。私は神が作りし聖女。余すことなくすべてを救う者です。 | |
シュヴァルツ | 大人しくしているがよい。救済は我がすべてを無に還すことによって為される。 | |
エルレイン | すべてを、無に…… ? | |
エルレイン | 救うべき人々なくして、何が救済と言えるのです。 | |
シュヴァルツ | 弱き人の子らは悲しみに溺れ、苦しみに喘ぐ。故に我はすべてを消し去り、人の子らを解放する。 | |
エルレイン | いいえ。人々は私の手によって幸福にならなければなりません。人々の願いによって、神は生まれたのですから。 | |
シュヴァルツ | 我は人の子の業により、生まれゆくもの。消滅こそ人の子の願い。 | |
エルレイン | あなたも人から生まれたというのですか ? | |
エルレイン | 一人一人は弱く脆いが、時にして神をも生み出す。かくも矛盾を抱えた人間とは……。 | |
エルレイン | いずれにせよ、消滅を救済と語るなど許せるものではありません。 | |
シュヴァルツ | 抗うな。流れに身を任せるがよい。 | |
エルレイン | ……ええ。今はそうさせてもらいましょう。私もあなたもここでは神の力を持たぬ身。 | |
エルレイン | それに、ここはあなたのような存在を認めない者が多そうですから。 | |
シュヴァルツ | 神を受け入れぬと申すか。 | |
エルレイン | ………… !神とは、人々に幸福をもたらす存在です。あなたは神ではない。 | |
シュヴァルツ | 我に言葉は無意味。我は人の子を苦しみより解き放つ。 | |
エルレイン | いいでしょう。神の力なきこの世界で、どちらが救済を果たすのか。やがてあきらかになることです。 | |
シュヴァルツ | 世界が虚無に還ったあとに知るやもしれぬがな。 | |
エルレイン | ……弱き人間たちは私が救います。今のこの身で出来得るかぎり。 |
Character | # | |
シュヴァルツ | …………。 | |
グリューネ | あらぁ。シュヴァルツちゃん、帰ってきてたのねぇ。 | |
シュヴァルツ | 人の子らの負の感情が高まっている。想いの暴走か。他なる影響か。 | |
シュヴァルツ | だが、我が力を取り戻すほどではない。この形も、ほどなく消えよう。 | |
グリューネ | またいなくなっちゃうのねぇ。 | |
グリューネ | ねえ、シュヴァルツちゃん。せっかくだから、今度こそきちんとお話ししましょう ? | |
シュヴァルツ | 話すことなどない。人の子らを救うべく、世界を消し去るが我が務め。 | |
グリューネ | でも、この世界ではその力がないのでしょう ?なら、違った過ごし方もできるんじゃないかしら。 | |
グリューネ | お姉さん、シュヴァルツちゃんとも仲良くしたいわ。 | |
シュヴァルツ | どの世界であろうと、我は全の消滅をもって人の子らを救済する。 | |
グリューネ | 救済にもいろいろあると思うの。それに、シュヴァルツちゃんもセネルちゃんたちの力を見たでしょう ? | |
シュヴァルツ | ひとときの夢に過ぎぬ。人の子は過ちを繰り返す。故に我はすべてを無に還す。 | |
グリューネ | そうしたら、またセネルちゃんのような人たちが立ち上がるわよぉ。 | |
シュヴァルツ | 言葉は無意味だ。故に幾度として我らは刃を交えたのであろう。 | |
グリューネ | 幾度として……。 | |
シュヴァルツ | 我は世界を消滅させる。グリューネはそれを阻むのであろう。 | |
グリューネ | そうねぇ。セネルちゃんたちは大切なお友達だもの。消させることなんて、絶対にさせないわ。 | |
グリューネ | あらぁ、何かしら。鏡が……。 | |
グリューネ | これは、シュヴァルツちゃんと、わたくし…… ? | |
シュヴァルツ | 我らは道を変えられぬ。 | |
シュヴァルツ | ゆめゆめ忘れるな。グリューネがいるかぎり我もいることを。 | |
グリューネ | そうですね……。いつかはわたくしも旅立たなければいけないのかもしれません。 | |
グリューネ | でも、そうならないようにセネルちゃんたちと『一緒に』歩いていくわ。ここではそれができるのだから。 | |
シュヴァルツ | 人の子が如き夢を言う……。 | |
グリューネ | だから――シュヴァルツちゃんとも歩いてみたかったわ。 |