プロフィール
島国センシビア王国の第四王子として生まれた生粋の王族。しかし国の危機に際して自ら旅立つ決意をし、カイウスたちとの出逢いを経て、ヒトとレイモーンの民の間の長い確執に終止符をうつことになった。だがそれはティルキスにとって大した問題ではない。自身が大切にしているものを守ろうとした結果に過ぎないのだから。そんなことよりも彼女──アーリアの心を覆う暗闇の方が、彼にはずっと重要な問題なのだ。
ミリーナの一言
王子様と言えばリチャードさんやウッドロウさんがいるけど、ティルキスさんはその二人とはぜんぜん違う雰囲気ね。いい意味で王子様らしくないというか、誰にでも気さくに接する人よ。だけどアーリアといる時は、誰といる時よりも優しい目になるの。彼女のことを大切に想っているのが伝わってくるわ。けれど必要以上に迫ることはないの。静かにアーリアからの答えを待っている──そんな風に見えるのよね。
イクスの一言
ティルキスさんの武器は自分の身長ほどもある大剣だ。豪快な武器だけど、ティルキスさんは軽々と振り回すんだよな。見た目ではわかりづらいけど、かなりの鍛錬を積んでいるんだと思うよ。王子っていう立場や責任が伴う分、色んな事を身につけないといけないんだろうな。でも普段はそんな苦労を感じさせない、楽しい人なんだ。仲間と二人で海賊船を乗っ取った話なんて傑作だったよ。
キャラクター | 働く王子様 |
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ティルキス | ……ふぅ、そろそろ準備をして出掛けるか。 |
ルビア | お兄様、どちらに行かれるんですか ? |
ティルキス | ああ、配達の仕事だよ。 |
ルビア | 配達って……。『なんでも屋』まだやってたんですか ! ? |
ティルキス | もちろん、客も増えて軌道に乗ってきたところなんだ。やはり自分で働いて稼ぐというのは充実感が違うな。 |
ティルキス | それに、アーリアの研究費も作ってやりたいしこの先の人生設計にも貯金は必要だろう ? |
ルビア | お兄様がすっかり所帯じみて……。 |
ルビア | ううん ! でも愛する人との将来を真面目に考えるのはとてもいいことだと思います ! |
ルビア | さっきの言葉をカイウスにも聞かせてやりたいくらい ! |
ティルキス | ルビアにそう言ってもらえると俺も自信が湧いてくるよ。 |
ティルキス | さて、それじゃあ着替えてくるか。アーリア、クリスマスの時の服はどこだい ? |
アーリア | 今、持ってくるわ。夕べ繕っておいたところなの。 |
ルビア | そしてアーリアもすっかりいい奥さんみたいに……。 |
ルビア | って、ちょっと待ってください。あの格好で仕事しているんですか ? |
ティルキス | ああ、なかなか便利な服だからな。 |
ティルキス | それに、普段の格好で行くとたまに泥棒と間違えられるんだ。 |
ティルキス | だが、あの格好だと絶対に間違えられない。しかも一度で覚えてもらえるから次の仕事に繋がる。 |
ティルキス | どうだ ? 一石二鳥ってやつだろう。 |
ルビア | そう言われると納得なようなそうでもないような……。 |
アーリア | はい、ティルキス。服を持って来てあげたわよ。 |
ティルキス | ありがとう、アーリア。いつも助かるよ。 |
アーリア | いいのよ。お仕事がんばってね。 |
ティルキス | ああ ! 任せてくれ ! |
ルビア | いろいろ気になるけど二人とも幸せそうだし……ま、いっか。 |
キャラクター | 王子の宿命 |
ティルキス | やあ、あなたがウッドロウ王子だな。 |
ウッドロウ | ここではもう王子ではないがね。君もそうだろう ? |
ティルキス | 確かにそうだ。 |
ティルキス | しかし……ははっ、なんだか不思議な気分だな。あなたもそう思わないか ? |
ウッドロウ | どういう意味だい ? |
ティルキス | 急に身分なんてものから解放されたんだ。妙にソワソワするというか、落ち着かない気分だよ。 |
ウッドロウ | 肩の荷が下りたということかな。 |
ティルキス | うーん、少し違うかな。俺は第四王子で王位を継ぐ予定もなかった。兄に比べれば大した責任を負っていなかったからな。 |
ティルキス | だが、それでも王族だ。俺がいれば周りは気を遣うし、遠慮もしてただろう。 |
ティルキス | そういう、他人との距離みたいなものがなくなった感じかな。 |
ウッドロウ | なるほど。その気持ちは分からないでもない。私もよく城を抜け出したクチからね。 |
ティルキス | なんだ、ウッドロウもそうだったのか ! |
ウッドロウ | 放浪癖のある問題王子だと言われたものだよ。 |
ティルキス | 俺も、ずいぶん家臣たちに叱られたよ。妹姫様たちが真似をするようになったらどうするのです ! ってな感じでね。 |
ティルキス | だが、民草の生活を知らずに統治者になどなっていいものか……そう思うと。 |
ウッドロウ | もちろん、それだけが理由ではないのだろう ? |
ティルキス | そうだな ! はっきり言って城の中は窮屈だ ! |
ウッドロウ | 常に王族としての自分を考えてしまう場所ではあるな。 |
ティルキス | 知らない土地で、知らない人たちとの交流 ! |
ウッドロウ | 一人の弓を修練する者としての旅で多くの人たちと出会った。 |
ティルキス | あからさまに「よそ者」を警戒してるあの目 ! |
ウッドロウ | 放浪の身に、人の情けが暖かかったものだ。 |
ティルキス | 俺なんか、国を出てすぐに海賊船に乗ってしまった。 |
ウッドロウ | それは……それで、どうなったのだ ? |
ティルキス | 商船と間違えて乗ってしまったんだがつい、王子だと名乗ったらいきなり襲い掛かってきた。 |
ティルキス | どうやら、身ぐるみを剥ぐよりも人質にして身代金をとった方が儲かると思ったらしい。 |
ウッドロウ | 身代金か。なるほど、海賊たちも必死だな。私が野宿をしていた時は、野党に周囲を囲まれたので弓で迎え撃ったことがあったな。 |
ウッドロウ | 街から尾行されていたのは気付いていたのだけどね。私は庶民の格好をしても、すぐにバレてしまったようだ。 |
ティルキス | そうそう ! 庶民の格好をしたつもりなのになぜか目端の利く盗賊にはバレるんだよなあ。 |
ウッドロウ | 聞いたところによると彼らは歩き方を見るらしいぞ。 |
ティルキス | なるほど。 |
ウッドロウ | 貴族や王族は、普段歩かないからな。だから私はあえてすり減ったブーツを履くようにした。 |
ウッドロウ | そうすると、自然と周りに溶け込めたものだ。無駄な争いも避けられる。 |
ティルキス | それはいいな、俺も参考にさせてもらうよ。 |
ルーティ | あの二人、なんであんなウキウキしてんの ? |
フィリア | さ、さあ……。何か、通じるものがあるのでしょうか。 |
アーリア | ええと……放蕩王子様あるある……かしら。 |