プロフィール
怒り、憎しみ、慟哭。目の前で夫を殺され、絶望の淵にあったシゼルには破壊神の誘惑に抗う術はなかった。闇の極光術の強大な力でセレスティアの実質的な総領主として君臨し、グランドフォールによって世界の破壊を企てる。全てが無となる世界、バテンカイトス。かつてバリルと共に目指した理想の世界は、彼女を混沌の底へと沈めてしまうのだった。
ミリーナの一言
シゼルさんはメルディのお母さんなの。メルディのことを見るときは、優しさに満ち溢れた目をしているわ。でも、その中に少しだけ悲しみを帯びているように私は感じるの。きっと、ネレイドに意識を支配されている時のことを思い出してしまうのね。過去を変えることはできないけど、今のシゼルさんなら、またメルディと仲良くなれるって私は信じてるわ。
イクスの一言
シゼルさんはネレイドっていう破壊神に意識を支配されてたみたいなんだ。世界を滅ぼすこともできる力なんて、想像しただけ恐ろしくなるよ。でも、もうネレイドの意識は消滅したし、元の優しいお母さんに戻ったってメルディも喜んでたな。あっ、ただ……メルディに危険が迫った時は鬼気迫るというか……こんなこと言っちゃいけないんだけど、正直少し怖いときもあったりするんだ……。
キャラクター | 母の存在 |
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アルヴィン | あんた、メルディの母親なんだってな。 |
シゼル | ああ、そうだ。お前とは初対面だったと思うが。 |
アルヴィン | おっと、一方的に悪かったな。俺はアルヴィン。あいつらのお仲間だよ。 |
シゼル | それで、私に何の用だ ? |
アルヴィン | ……あんたに聞きたいことがあってな。 |
アルヴィン | 破壊神とやらに乗っ取られてる間どんな感じだったんだ ? |
シゼル | どんな感じ、とは ? |
アルヴィン | いや、まあ……苦しいとか、つらいとかあとは……自分の娘のことをどう思っていたか……。 |
シゼル | ……そうだな。後悔と自責……そんな言葉では言い表せないほどの苦しみを感じていた。 |
アルヴィン | ……そうか。あんたも辛かっただろうな。 |
シゼル | いや、これは私が生涯背負うべき感情だ。それより……お前が本当に聞きたかったのはもっと別のことではないのか ? |
アルヴィン | なんでそう思うんだ ? |
シゼル | 最初にお前は私をメルディの母と呼んだ。母という立場の人間と話したかったのではないのか。 |
アルヴィン | 見透かされてたって訳か。まぁ、ここでかっこつけても仕方ねえよな。 |
アルヴィン | ……お袋は、ずっと病気だった。 |
アルヴィン | 俺はせめて故郷に帰してやりたくてあちこち駆けずり回ってたよ。 |
アルヴィン | だけど、結局それも叶わずにお袋は死んだ。 |
アルヴィン | 今さら思うんだ。俺は、正しかったのかって。 |
アルヴィン | 叶いもしない願いのために汚いことをしてきた。だったら、ずっとお袋のそばにいてやった方がマシだったんじゃなかったかって……。 |
アルヴィン | こんなの、他人のあんたに聞いても仕方ねえのはわかってる。だけどよ……。 |
シゼル | そうだな。無意味だ。 |
シゼル | 死んだ者は何も語らない。何も思わない。それは、お前だけの想いであり後悔だ。 |
アルヴィン | そうだな。そうだよな……。 |
シゼル | だが、我が子を想わぬ母などいない。 |
シゼル | 自分の子が苦しむ姿を見たいという母もおらん。そんなことを考える者はすでに親ではない。 |
シゼル | お前の母はどうだった ? |
シゼル | お前が心の底から救いたいと苦しみを取り除いてやりたいとそう願ってやまない── |
シゼル | そんな、女性ではなかったのか ? |
アルヴィン | ……ッ ! ? |
シゼル | すべての答えはお前の中にある。ただ、それだけだ。 |
アルヴィン | 俺の、中に……。 |
シゼル | 話はこれで終わりか ? |
アルヴィン | あ、ああ……そう、だな……。 |
シゼル | では。 |
アルヴィン | ……やっぱ母親には敵わねえな。 |
キャラクター | おもいで |
メルディ | それでな、それでな !チャットはクィッキーが怖いって ! |
シゼル | 怖い、のか ?愛らしい姿だと思うのだが。 |
チャット | ち、違いますよ !バンエルティア号の繊細な機関部にあのフサフサの毛が挟まるのが嫌なだけです ! |
リッド | じゃあ、ちょっと首に巻いてみるか ? |
チャット | え……いや、それは…… |
クィッキー | クィッキー ! |
チャット | ひああああっ ! くっ、来るなー ! あっちいけー ! |
ファラ | もう、リッドがいじわるするから。追いかけて謝ってくること ! |
リッド | え~、別にいいだろ。めんどくさいし。 |
ファラ | もう、そんなこと言うんだったらリッドにはオムレツ作ってあげない。 |
リッド | わ、わかったよ !謝ってくりゃいいんだろ、ったく……。 |
メルディ | あははっ。リッドはファラにかなわないな。あ、そうだ ! 前もな、リッドが── |
ファラ | ほらほら、メルディもいっぺんにしゃべりすぎだよ。シゼルさんはまだ体調が万全じゃないんだから。 |
メルディ | あ、そうか。ごめんな、無理してたか ? |
シゼル | ……いいや。そんなことはない。メルディ、お前の旅の話をもっと聞かせてくれ。 |
メルディ | そっか。じゃあ、たくさん話すよ !シゼルに聞いてほしいこと、まだまだいっぱいあるな ! |
シゼル | ああ、楽しみだ。 |
ファラ | その前に、飲み物とってくるね。メルディもしゃべりすぎてノド渇いたでしょ ? |
メルディ | そだな。メルディ、シゼルがためにお茶淹れてくるよ。 |
ファラ | うん。じゃあ、メルディも一緒に行こう。 |
シゼル | ……ふぅ。 |
キール | どうした ? まだ、身体がつらいのか。 |
シゼル | いや、そうではない。 |
シゼル | ……私はメルディの前でちゃんと笑えているだろうか。 |
キール | なんだ、それは。 |
シゼル | あの子の前に立つと、どうしても罪悪感が胸の内に湧き上がるのを抑えきれない。 |
シゼル | ネレイドに支配されていたとはいえ実験と称して、メルディに酷いことをしてしまった。 |
シゼル | あの子の泣いている顔が今も目に焼き付いている。二度と、あのような顔をさせるわけにはいかない。 |
シゼル | ゆえに私は、己を律し続けなければならない。そのためにお前の意見を聞きたいのだ。 |
キール | どうしてぼくなんだ ?そういうことは、ファラや他の女性の方が……。 |
シゼル | お前だからだ。 |
シゼル | 誰よりもメルディを想ってくれているお前にこそ聞きたいのだ。 |
キール | お、想う ! ? ぼ、ぼくは別にそんなんじゃ…… ! |
シゼル | む、違うのか ?私はてっきり……。 |
キール | な、何を勘違いしているか知らないがぼくは別にメルディの事なんか……。 |
キール | あ、いや、嫌っているわけじゃないぞ !あくまでも共に旅をした仲間で……それで……。 |
シゼル | ふ……ふふふ。 |
キール | な、何がおかしいんだ。 |
シゼル | すまない。お前を笑ったわけではないのだ。 |
シゼル | ただ、感じたのだ。メルディは良い旅をしたのだなと。 |
シゼル | あらためて、感謝する。娘を……そして私を救ってくれたことを。 |
キール | ぼくは何もしていない。ネレイドを討ったのはリッドたちだ。 |
シゼル | いや、あの時のお前の言葉がなければ私はメルディの母ではいられなかった。 |
シゼル | こうして、あの子の『おもいで』を語って聞かせてもらえることもなかっただろう。 |
シゼル | そのことへの礼だ。 |
キール | そうか……。 |
シゼル | この先も、作り続けていきたい。私の大切な娘との『おもいで』を……。 |
キャラクター | 救いの連鎖 |
ハロルド | はい、終了~。もう動いてオッケーよ。 |
シゼル | すまないな、いつも時間を作らせてしまって。 |
ハロルド | 平気、平気。こっちも好きでやってるところもあるし。 |
ハロルド | ま、ネレイドの影響を心配しているみたいだけどもうすっかりその気配は消えてるわ。 |
シゼル | それを聞いて安心した。随分経つとはいえまた私の意識が何かを起点に、消え去ったはずのネレイドに支配される可能性はゼロではない。 |
キール | ああ、出来ればこれからもぼくたちの定期検診は受けておいてくれ。データに異常が出ればすぐにこちらも対応できるからな。 |
エルレイン | 失礼する。どうやら、少し時間が早かったようだ。 |
シゼル | エルレイン、お前も検査の日だったか。 |
エルレイン | 私の身体にはクロノスの影響が残っているからな。フィリップたちからも診てもらうように言われているのだ。 |
ハロルド | ふふ~ん、来たわね。さてさて、今日はどんなデータが取れるかしら ? |
キール | ハロルド……検査は実験じゃないんだぞ。頼むから真面目にやってくれ。 |
シゼル | お前も苦労が絶えないな。 |
キール | まあ、もう慣れたさ。それに、ネレイドに関してはぼくの方から手伝って欲しいと頼んだんだしな。 |
シゼル | 私のため、か。ネレイドから解放されてもなお多くの者たちの力を借りることになってしまったな。 |
キール | シゼル…… ? |
シゼル | いや、余計なことを言った。今まで人に頼ることをあまりしてこなかったせいかこういった環境に慣れていないのかもしれない。 |
エルレイン | そうか……ならばお前も、私と同じだな。 |
シゼル | なに…… ? |
エルレイン | 私も、この世界に来てからは多くの者たちの助けを得ている。 |
エルレイン | 人間に助けてもらうなど、昔の私では考えられなかったことだ。 |
エルレイン | だが、多くの者たちと交流を経たことで気付かされることが多々あった。私にとっては、貴重な経験だ。 |
シゼル | ……そうだな。私も、こうした時間を過ごせることを多くの者たちに感謝せねばなるまい。 |
ハロルド | ちょっとちょっと、そんなしんみりする必要はないでしょ。要は、困った時はお互い様って思っとけばいいのよ。 |
キール | ああ、ぼくもシゼルのことはメルディから頼まれているしな。 |
シゼル | なるほど。では、お前たちの厚意はありがたく受け入れるとしよう。 |
ハロルド | おっ、上手く話がまとまったみたいね。じゃあ、ちょ~っと試してみたい新薬があるんだけどあんたたち二人にも協力を―― |
二人 | 断る。 |
キール | いくら心を開いたとはいえハロルドの実験に警戒心を解かないのはさすがと言っていいんだろうな……。 |