プロフィール
この偽善者たちの挫折を見る。真っ直ぐで心優しきハーフエルフの姉弟と、人間ながら二人に従う凄腕の剣士。この奇妙な三人の旅に同行する目的は単純明快だった。だが悲劇が重なり、この皮肉が現実のものとなっていく。自分は捻くれ者、そう簡単に旅の目的を達してしまうなど易々とは認められない。認めてはならないのだ。だからこそ、堕ちた勇者の歩みを阻もうと、世界を導く最高機関クルシスに対抗する組織レネゲードを結成した。愛する者の安らかな眠り。心からの願いをその胸に秘め。
ミリーナの一言
ユアンさんは皮肉っぽいところもあるけれど、本当は愛のあるとても優しい人だと思うの。大切にしているエンゲージリングがその証拠よ。ただ婚約しているとはいえ、もっとマーテルさんに好意を伝えてもいいのにってもどかしく思うことはあるの。だって、いまだにマーテルさんと話す時、頬を赤らめたりしているのよ。ミトスによると昔から素直に好きと言えないみたいだからしょうがないのかもしれないけど。でもユアンさんの気持ちはわかるわ。私も時々イクスを見ているだけで顔が赤くなっちゃうから。
イクスの一言
サプライズプレゼントがアジトのブームになったことがあって、ユアンさんも一緒にやることになったんだ。ユアンさんは、ターゲットのロイドが寝ているのを見計らって、プレゼントを枕元に置きに行ったんだけど、見事に気づかれて失敗したらしいよ。潜入工作とか得意そうなのに意外だよな。そういえばミトスがユアンさんのこと、ツメが甘いって言ってたな。うん……。そういうことか。でもロイドに選んだプレゼントは、すごく芸術的な細工のペーパーウェイトで、芸術的センスのある人なんだなって思ったよ。戦い一辺倒じゃないところは見習いたいな。
キャラクター | ダブルセイバー |
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ソフィ | ユアンもソウルキャリバル、読むの ? |
ユアン | ソウルキャリバル ? 何だそれは ? |
リチャード | 少年向けの漫画のことです。ヒューバートのお気に入りなんですよ。 |
ソフィ | ヒューバートは、ソウルキャリバルっていう漫画で武器や戦い方を考えたんだよ。 |
ソフィ | ユアンとヒューバートは武器が似ているでしょう ?だからユアンもソウルキャリバルを読んだのかと思ったの。 |
ユアン | 残念ながら読んだことはない。今後、読むつもりもないが……。 |
ソフィ | そうなの ? 面白いのに ? |
ユアン | 私は大人だからな。そのような子供向けの読み物などに興味はないのだよ。 |
リチャード | お言葉ですが、大人になって少年向けを読むからこそ、ひたむきさや熱い展開に、より心を打たれたりするもの。 |
リチャード | 僕はそこまで詳しいわけではありませんがユアンさんも食わず嫌いをせず一度試しに読んでみてはいかがですか ? |
ソフィ | アジトの図書室にもあるよ。ユアン、一緒に読もうよ。 |
ユアン | いや、私はそういう子供だましに興味は―― |
マーテル | ねえ、ユアン ! 聞いてくれるかしら ?とても珍しくて面白い本を見つけたのよ ! |
ユアン | マーテル ! ?もしやその手に持っているものは……。 |
マーテル | うふふ、ソウルキャリバルっていう漫画よ !涙あり笑いあり友情あり手に汗握るバトルありでとても面白いの ! |
マーテル | ユアンに似た武器を使う登場人物もいるのよ !敵をダブルセイバーでバッサバッサと切り捨てていくのが格好いいんだから ! |
マーテル | きっとユアンも気にいると思うわ !よければぜひ読んでみてちょうだい ! |
ユアン | …………。 |
二人 | ………………。 |
ユアン | ……もちろんだ。マーテルが薦めてくれるのだからな ! |
リチャード | ヒューバートに似ているのは武器だけじゃないみたいだね。 |
キャラクター | 旅の目的 |
ロニ | 俺が旅に出た理由 ?まぁ、一言で言うならカイルだな。心配でついていったってわけさ。 |
ユアン | つまりはカイルを信じ、待つという選択肢を選びきれなかった、貴様の弱さ所以という訳か。 |
ロニ | 随分な言い草だな。そういうお前はどうなんだよ。偉そうなこと言っておいて、どうせマーテルさんに一目惚れしたからとかなんだろ ? |
ユアン | ……なっ、そんな理由で旅に出る奴があるか ! |
マギルゥ | 別に恋が動機でもよいではないか。まあ、大願成就し婚約までしましたというのは儂的にちとベタすぎてつまらぬがの。 |
ユアン | いい加減にしろ。私の旅の目的はただ一つ。挫折を見るためだ。 |
ロニ | 挫折 ? それはつまり……ミトスたちの挫折ってことだよな ? |
ユアン | それ以外に何がある。 |
マギルゥ | ほう、まさか儂と同じような動機の者がいようとはのう。 |
ロニ | マギルゥもかよ。お前らどんだけ根性ひん曲がってるんだ。 |
マギルゥ | 無謀に挑む愚か者が目の前におる。この完全ノンフィクションな喜劇を楽しまずして何を楽しめと言うんじゃ。 |
ユアン | まったくだな。人間とエルフそしてハーフエルフが種族を越えて手を取り合い共に生きる世界を築きたいなど……。 |
ロニ | ……できるわけがない、ってか ? |
マギルゥ | それで、結末の感想はどうじゃった ?その様子じゃと、さぞ期待通りの感動的クライマックスを迎えられたのじゃろ ? |
ユアン | 勝手に幕を下ろさないでもらおう。元の世界でもまだ劇は続いている。そして、この世界でもな。 |
マギルゥ | ほう、お主が観始めた喜劇も意外に長編じゃったというわけか。お互いに一刻も早い完結を願うばかりじゃのう。 |
ロニ | ……なるほどねぇ。 |
ユアン | 旅の目的が聞けて満足か ? |
ロニ | 別に。だが、お前たちがどっかの仮面かぶってる奴以上に素直じゃないってことはわかったけどな。 |
ロニ | 観たいものを拝んで満足し、とっとと劇場を後にすることもできるだろうにずっと席にかじりついてるんだからよ。 |
マギルゥ | 何を言い出すかと思えば。劇の途中で座席を立つほど無粋ではない。ただそれだけじゃよ。 |
ユアン | ああ。最後の幕が下りるまで観賞しなければその舞台の価値はわからぬ。芸術をたしなむとはそういうものだ。 |
ロニ | ったく、面倒な奴らだぜ。お前らがもうちょい素直に声援を送れるよう俺は願うばかりだよ。 |
キャラクター | 新しい大樹 |
ユアン | ……よし。今回も特に問題は起きていないようだな。 |
クラトス | そうか。ならばマークたちへの報告は私がやっておこう。 |
ユアン | ああ、頼む。念のため、マークにはラタトスクやダオスにも今回の調査結果を報告するように伝えてくれ。 |
ミトス | へえ、ラタトスクはともかくダオスにもちゃんと報告してるんだ。 |
ユアン | 一応な。あの者も私たちのように大樹の様子を気にしている以上迷惑だということはあるまい。 |
マーテル | ええ、この世界には大樹を守ってくれる人がたくさんいる。みんなで協力できるのならそれが一番いいことだと思うわ。 |
ミトス | ……だけど、どれだけユアンたちが見守っていたって結局どうなるかは人間次第なんじゃないの ? |
ユアン | ……そうだな。この大樹にはマナの代わりにこの世界で必要なキラル分子を生み出す力がある。 |
ユアン | その力を誰かが独占しようなどと考えれば私たちの世界の二の舞だ。 |
ミトス | ボクはいつか、そうなるんじゃないかと思ってるけどね。人間が欲深いのはどこでも変わらないよ。 |
ミトス | 実際、帝国の奴らはそうしようとして失敗するどころか、姉さまを危険な目に遭わせたんだから。 |
ユアン | その通りだ。だが、同じことをさせないために私たちがいる。この大樹は私が守るさ。もちろん、マーテルのこともな。 |
ミトス | 当たり前でしょ ?姉さまを守りきれなかったらボクが許さないから。 |
マーテル | ありがとう、ユアン。それに、私も信じたいわ。この大樹がずっとこの世界で枯れずにいることを。 |
クラトス | ああ、確かに人は時に争いを起こすかもしれん。だが、その戦いを止める力が今の我々には十分ある。 |
クラトス | 何より、この世界を守りたいと思う者は大勢いるのだ。その者たちの力があれば大樹も守り続けられるだろう。 |
ミトス | どのみち、ボクたちが生きている間は人間の好き勝手にはさせないさ。 |
ユアン | ふっ……そうか。 |
マーテル | あら、ユアン。なんだか嬉しそうね。 |
ユアン | ……いや、一度は別の道を進んでいた私たちがこうしてまた集まっているというのもよく考えれば妙な話だと思っただけさ。 |
ミトス | それ、ユアンが一番言っちゃいけないことじゃない ?ずっとボクを裏切っていたんだから。 |
ユアン | うっ……そ、それはだな……。 |
マーテル | 私やあなたのことを想ってでしょう ? |
マーテル | ユアンはずっと私たちを見守ってくれていた。そのことは、あなたもよく知っているはずよ。 |
ミトス | うん、だから、ちゃんと信頼はしてるよ。今のユアンなら、姉さまのことを任せてもいいくらいにはね。 |
ユアン | ミトス……。 |
マーテル | ええ、私もユアンを信じているわ。これからも私たちで大樹を守っていきましょう。 |
ユアン | ああ、今度こそ守ってみせるさ。……君のことも、必ずな。 |