プロフィール
遺跡船の山賊として恐れられていた彼にも、種族を超えた固い絆で結ばれた家族がいた。喜びも哀しみも互いに分かち合い、それが当たり前の日常の風景だった。だが、別れは唐突に訪れる。決して抗うことのできない運命を前に、彼は決断を下す。もう、同じ時間を過ごすことはできないのかもしれない。だが、たとえ離れていようと心は共にある。彼らは互いに背を向けて、別々の道を歩みだす。いつかまた、必ず会いに行くという約束を果たすために。
ミリーナの一言
モーゼスさんは、立場的にはお兄ちゃんのはずなんだけど、あまりそういう扱いをされてないことに納得がいってないみたい。でも、みんな口にしないだけで、モーゼスさんのことは頼りにしているんじゃないかしら。特にジェイはモーゼスさんの前だといつもより素直になっていると思うわ。なんだか二人が話しているところをみると仲のいい兄弟みたいで微笑ましくなるわね。
イクスの一言
モーゼスの左目の眼帯、あれはギートっていうグランガルフを守ったときにできた傷を隠すためのものらしいんだ。それから、色々とギートとの話を聞いて、本当の家族のように過ごしてきたことが俺にも伝わってきてさ。きっと、モーゼスにとってギートの存在は、俺にとってのコーキスみたいなものなんだと思う。だからこそ、モーゼスはギートを信じて見送ったんだよな。……俺も、コーキスのこと、信じて待ってなきゃいけないよな。
キャラクター | 頼りになる男 |
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チャット | みなさん、到着しましたよ。ここが、とある海賊たちが集めた金銀財宝が眠るといわれる祠の入り口です。 |
モーゼス | クカカ ! ようやくじゃのう !……ん ? 金銀財宝 ? なんがこと言うとるんじゃ ? |
ルーティ | ちょ、あんた !もしかして何も知らず付いてきたの ? |
モーゼス | 付いてきたもなにも、ワイはシャボン娘に無理やり連れてこさせられたんじゃ。 |
ノーマ | えー、だって、先にお宝があるって言ったらモーすけ全部盗っちゃうでしょ ? 山賊なんだし。 |
モーゼス | ワレと一緒にすんな ! |
ルーティ | え、なになに ? 分け前もいらないの ?それじゃあ、モーゼスの分はあたしが頂こうかしら。 |
モーゼス | 誰もいらんとは言うとらんじゃろ !おい、シャボン娘。そがあなことならきっちりワイの分の宝も頂くからのう。 |
ノーマ | わかってるって~。なんたって、今回のお宝はモーすけがいないと絶対手に入らないもん。 |
モーゼス | ワイが ? なんでじゃ ? |
ノーマ | そんなの、モーすけがと~っても頼りになるからに決まってんじゃん ! |
モーゼス | な、なんじゃ、急にそがなこと言うて……。 |
ノーマ | あたしね、気づいたんだ……。今までもず~っとモーすけに助けられて来たんだなって……。 |
モーゼス | シャボン娘……。 |
モーゼス | ……ク、クカカッ !そうかそうか ! やっとワレもワイの偉大さに気付きおったか ! ! |
ノーマ | そゆこと !よ~し、それじゃあモーすけ !先陣は任せた ! いっけぇー ! ! |
モーゼス | おっしゃ ! 任せとけ ! !ヒョオオオオッ ! |
チャット | ……あの、ノーマさん。本当にモーゼスさんを一人で行かせて良かったんでしょうか ? |
ノーマ | え、なんで ? |
チャット | いえ、ですから前も説明しましたけどこの祠には侵入者を撃退するために罠があちこち仕掛けられているんですよ ? |
チャット | 例えば、壁から槍が飛び出してきたり――。 |
モーゼス | ぎゃああああ ! なんじゃ ! !槍が ! ! 槍がぁ ! ! |
チャット | 進んだ先の天井が急に落ちてきたり――。 |
モーゼス | ぐおおおおおおおおっ ! ! ! !つ、潰される…… ! ! |
チャット | そして、最後には大爆発が起こってしまうとか。 |
モーゼス | うぎゃあああああああああああっっ ! ! ! ! |
ノーマ | ああ、大丈夫大丈夫。モーすけならなんとかなるって。 |
モーゼス | お、おい……シャボン娘…………。 |
ノーマ | ほらね ? |
ルーティ | でも、おかげで入り口付近に設置してあった罠はほとんど発動して、しばらくは動かないみたいよ。これなら、あたしたちは安全に入れるんじゃない ? |
ノーマ | さっすがモーすけ ! よくやった !さあ、お宝お宝~ ! |
ルーティ | モーゼス、あんたやるわね !次の罠も見つけたらその調子で頼むわよ ! |
チャット | ……モーゼスさん、あなたも災難ですね。 |
モーゼス | 嫌じゃ……。ワイ、もう帰りたい……。 |
キャラクター | 別れと約束 |
ウィル | ――調査結果は以上だ。今のところ、ウェルテス領でグランガルフの群れが人を襲ったという報告は受けていない。 |
カロル | それに、グランガルフの目撃情報はあっても危険な魔物だってことで、町の人たちも縄張りには近づかないようにしてるみたいだよ。 |
モーゼス | そうか。ワレらにも手間かけさせて悪かったのう。 |
ウィル | いいのか、モーゼス ?引き続き調査を続けることもできるが……。 |
ザビーダ | おっ、なんの話だ ?魔物狩りにでも行くってんなら面白そうだし、俺様も付き合ってやってもいいぜ ? |
カロル | ザビーダ。えっと、違うんだ !これは……。 |
モーゼス | そがな一銭の得にもなりゃせんことするか。ワイは、ギートがこっちの世界に来とらんか知りたかっただけじゃ。 |
ザビーダ | ギート ? |
モーゼス | ギートはワイの家族じゃ。ずっとワイの相棒として、一緒に過ごしてきたんじゃ。 |
ザビーダ | ……ほう。それでお前はそのギートって奴を捜して会いたいって訳か。 |
モーゼス | いや、ワイはまだギートに会うつもりはない。もし今すぐ会わなあかんとすればあいつがワイとの約束を忘れたときだけじゃ。 |
ザビーダ | ……約束、ね。 |
モーゼス | じゃが、ウィの字たちからの報告を聞く限り心配はなさそうじゃ。 |
カロル | ねえ、モーゼス。さっきウィルも言おうとしてたことなんだけど本当にギートをこれ以上捜さなくていいの ? |
カロル | グランガルフの野生化のことは、ボクも聞いたよ。いつかは人を襲うようになるかもしれないからモーゼスとも離れ離れになったんだって……。 |
ザビーダ | …………。 |
カロル | だけど、この世界はボクたちにとっても未知数なんだ。だから……。 |
モーゼス | それでもじゃ。ワイは難しいことは、よお分からん。 |
モーゼス | じゃが、ワイの心は今もギートと一緒におる。それだけで十分じゃ。 |
ザビーダ | 痺れるね。そういうの、嫌いじゃないぜ。 |
モーゼス | けっ、男に言われてもちっとも嬉しくないわい。 |
ウィル | 分かった。ならば、オレたちの調査はこれで打ち切ろう。 |
ウィル | カロル。今回の調査で他の魔物の生息地についても把握できたので資料として残しておきたい。手伝ってもらえないか ? |
カロル | うん、わかった。それじゃあ、モーゼス、ザビーダ。ボクたちは先に行くね。 |
ザビーダ | なあ、モーゼスさんよ。興味本位に一つ聞いてもいいか ? |
モーゼス | なんじゃ ? |
ザビーダ | もし、こっちの世界にギートがいたとしてお前との約束を破っていたらどうするつもりだったんだ ? |
モーゼス | クカカ ! そんなの、決まっとるじゃろ。 |
モーゼス | ワイがきっついお仕置きをしに行くまでじゃ。家族が悪いことしちょったら叱るのは当たり前じゃろ。 |
モーゼス | ……じゃが、ワイはギートを信じとる。あいつがワイを信じてくれとるようにな。 |
キャラクター | 最強の悪運 |
モーゼス | む、これは……。 |
ジェイ | 何を唸っているんですか、モーゼスさん。 |
モーゼス | おー、ジェー坊。これじゃこれ、キノコの本を見とったんじゃ。 |
ジェイ | キノコの本ですか……。一応言っておきますけど、キノコって玄人でも見分けが難しいので野生のを食べるのはオススメしませんよ。 |
モーゼス | 別に食うために読んじょるわけじゃないわ ! |
ジェイ | えっ……。食欲以外の理由でモーゼスさんが本を読むとかあり得るんですか…… ? |
モーゼス | そんなに驚くようなことか ! ?ワイだって本くらい読むわい。 |
モーゼス | この間食べたキノコのことがどーも気になってのう……。 |
ジェイ | なんだ、やっぱり食べる話なんですね。けど、気になっているっていうのはどういう…… ? |
モーゼス | このキノコなんじゃが……。ほれ、ここに毒キノコと書かれておるじゃろ ? |
ジェイ | ええ、書かれていますが……。まさかこのキノコを食べたんですか ! ? |
モーゼス | 食べた……と、思うんじゃが……あまり自信がなくてのう。 |
ジェイ | まあ、そうですよね。これは一口食べれば即死するレベルの猛毒を持っているみたいですから。 |
モーゼス | うーん、じゃがこのキノコで間違いなかったと思うんじゃが……。 |
モーゼス | ジェー坊、これによく似た食えるモンがあったりはせんかのう ? |
モーゼス | 猛毒を食ったはずなのに生きてるっちゅうんがどうもむずむずするんじゃ。 |
ジェイ | まあ、確かに食べていたとしたら危険ですからね。というかここにいないはずですが……ん ? |
モーゼス | どうしたんじゃ ? |
ジェイ | ……モーゼスさん、このキノコの解説ちゃんと読みましたか ? |
モーゼス | オウ、当然じゃ !ここに「火を通すと猛毒になる」としっかり書いてあるじゃろうが ! |
モーゼス | ……ん ?生のままなら毒は発生しないとも書かれちょるな ? |
ジェイ | つまり、モーゼスさんはこのキノコを生で食べたということなんじゃないですか ? |
モーゼス | おお ! そうじゃそうじゃ !確かに引っこ抜いてそのまま食ったわ。なるほどのう、そういうことじゃったか ! |
モーゼス | ジェー坊よ、助かったぞ !なぜ無事じゃったのかと疑問に思っておったがスッキリした ! |
モーゼス | まさか、火を通すと毒が出るとはまたけったいなキノコもあったもんじゃ ! |
ジェイ | ええ、ぼくもそういう特徴を持つキノコは初めて知りましたが……。 |
ジェイ | そもそも、キノコを生で食べようと思ったことがぼくには理解できません。 |
モーゼス | 腹が減っちょったから食った ! それだけのことじゃろ ? |
ジェイ | ……そうですか。まさか食欲のせいで毒にあたらずに済むなんて悪運が強すぎて見事としか言えませんね……。 |
モーゼス | クカカ ! 本当じゃ !またキノコを食った時も無事じゃとええのう ! |