プロフィール
魔道士インカローズ。そう呼ばれた彼女の正体は、世界に破滅をもたらすとされる緋色の髪の魔王、クリードに仕える守護機士であった。魔王クリードの悲願を叶えんがため、悪逆非道を繰り返し、多くの者たちの命を奪い絶望と悲しみへと追い込んだ。だが、そんな彼女の行動原理は、主への忠誠心だけではない。その秘められし感情は、彼女が理解出来ずとも確かに存在する、「人」と同じものであった。
ミリーナの一言
インカローズはクリードさんに仕える守護機士だそうよ。確かによく一緒にいるところを見かけるわ。二人ともあまり会話はしていなかったけれど、なんとなく落ち着いた雰囲気がするの。それに、少しだけ嬉しそうな顔をしていたようにも見えたわ。もしかしたら、インカローズにとってはクリードさんの隣にいることが何よりの幸せなのかもしれないわね。
イクスの一言
インカローズはクンツァイトと同じ機械人だから、人間離れした戦闘スタイルで相手を翻弄するんだ。正直、俺も敵として戦っていたらかなり苦戦していたんじゃないかな。だけど、シングたちと戦っていたのも全部クリードさんのためだったって聞いてる。きっと、彼女も大切な人のために戦ってきたんだと思う。やっぱり、機械人も俺たち人間と変わらないんだな。
キャラクター | 泉の訪問者 |
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インカローズ | 巡回、開始。フルエーレの泉、及び周辺の生体反応をスキャンする。 |
インカローズ | ……こちらに接近する反応が二つ。接触まで、三、ニ、一……。 |
カナ | あれ ? ねえ、ゼファー !こっちに人がいたわ ! |
ゼファー | おいっ、あんま勝手に先行くなっての。ん ? お前……。 |
インカローズ | オマエたち、ここへ何しに来た ? |
カナ | えっと、私たち、この近くにフルエーレがいる泉があるって聞いて来たの。 |
カナ | あっ ! もしかして、あなたも同じ理由かしら ? |
インカローズ | ワタシは主の命に従い、フルエーレの泉を守護している。オマエたちのような安易に近づく人間共を―― |
カナ | えっ、本当 ! ? だったら、すっごく助かるわ !実は私たち、道に迷っていたの。 |
カナ | もしよかったら、フルエーレの泉まで案内してくれないかしら ? |
インカローズ | …………。 |
カナ | あ、駄目なら道を教えてくれるだけでもいいわ。お願い ! 私たち、その泉の近くでみんなとピクニックがしたいの ! |
カナ | ほら ! ゼファーもちゃんとお願いして ! |
ゼファー | おい、なんで俺まで……。それに、こいつが誰なのかもまだ聞いてねえぞ。 |
カナ | 何言ってるのよ、ゼファー。さっき泉を守ってるって言ってたでしょ ?きっと、この人はフルエーレたちを守る妖精さんよ ! |
ゼファー | 発想が突拍子過ぎるだろ ! ?大体こいつ、普通とは違うっていうか……危険な感じがするぜ。 |
カナ | そんなことないわ。よく見て。この人の服、フードが付いてるでしょ ?フードの服を着ている人に悪い人はいないわ ! |
インカローズ | 先ほどから何を言っている ?まあいい、ここから先へは―― |
カナ | それにこの人の瞳、すっごく綺麗よ。そんな人が危険なわけないじゃない。 |
インカローズ | …… ! |
カナ | あ、ごめんなさい !私、何か失礼なことを言っちゃったかしら ? |
インカローズ | ……いや、オマエと似たような発言を我が主からもされたことがある。 |
カナ | そうだったのね ! その主さんって人もきっとあなたの綺麗な瞳が好きなんだわ。 |
インカローズ | …………ついてこい。 |
カナ | えっ ? |
インカローズ | 今のところ害はないと判断した。ワタシの監視下で、フルエーレの泉に案内してやる。 |
カナ | わぁ、ありがとう !ほら、言ったでしょゼファー !この人はフルエーレの泉の妖精さんだって ! |
ゼファー | いや、妖精かどうかはわかんねえだろ。ま、これ以上森の中を彷徨わずには済みそうだな。 |
カナ | ふふっ、それじゃあ道案内お願いね、妖精さん。 |
インカローズ | ……やはり、人間とは可笑しな生き物だな。 |
キャラクター | 風の助言 |
インカローズ | 物資の配達人というのはキサマか ?我が主からうかがっていた特徴とはかけ離れているが。 |
ザビーダ | おっと、そいつは失敬。『セキレイの羽』も繫盛してんのはいいがその分、人手不足みたいでな。 |
ザビーダ | そこで、この優しいザビーダ様が手を貸してやってるって訳だ。 |
インカローズ | そうか。ならば物資を置いてさっさと去れ。 |
ザビーダ | つれないねえ。あんたも俺たちと同じ鏡映点なんだろ ? 仲良くしようぜ。 |
インカローズ | 聞こえなかったのか ?用が済んだのなら去れ。 |
ザビーダ | はいはい、わかりましたよっと。ところで、肝心のご主人様はどこにいるんだ ? |
ザビーダ | まさか、こんな麗しきレディに仕事を押し付けてサボってんじゃねえだろうな ? |
インカローズ | ……キサマ、クリードさまへの侮辱は許さん。命が惜しければ、今の発言を取り消せ。 |
ザビーダ | うおっと、こいつはマジだな……。 |
ザビーダ | 悪かった。別にからかうつもりはなかったんだよ。 |
ザビーダ | あんたの周りの風が妙にざわついててな。それでつい余計なことを聞いちまった。 |
ザビーダ | ここに来るまでに何か嫌なことでもあったのかってな。 |
インカローズ | ……嫌なことだと ?ワタシはただ、クリードさまの命を受けて来ただけだ。 |
ザビーダ | そうか。なら、俺もこれ以上首を突っ込むつもりはねえよ。 |
ザビーダ | けど、もし悩みがあるんだったらいつでもこのザビーダ様が相談に乗ってやるぜ。それじゃあな。 |
インカローズ | ……なんだ、あのふざけた男は。まあいい、目的の物資は確保できた。あとはクリードさまに届けるのみ。 |
クリード | 取引は終わったのか、インカ。 |
インカローズ | クリードさま ! ? なぜこちらに ? |
クリード | 用事が早く終わってな。そうしたら、フローラがお前を迎えに行けと言うのだ。 |
フローラ | 元々は私たちのせいでインカローズにお使いを頼むことになったのですよ ? |
クリード | 何を言っているのだ、フローラ。今の私のスピリアはきみの存在にも大きく関わる。 |
クリード | 不本意ではあるが、鏡士たちによる定期検診を怠るわけにはいかないだろ。もう二度と、きみを失うわけにはいかない。 |
フローラ | クリード……。ありがとうございます。だけど、あまり心配しすぎないでください。 |
インカローズ | (……何故だ。何故ワタシの疑似スピリアに『痛み』が走る……) |
インカローズ | (今回だけではない。今のクリードさまを見ていると時折生まれるこの『痛み』は、一体……) |
クリード | どうした、インカローズ ? |
インカローズ | いえ、なんでもございません。 |
インカローズ | (そうだ、ワタシはクリードさまに仕える守護機士。主の役に立つことだけがワタシの望み……) |
インカローズ | (それだけのはず……なのだ……) |