プロフィール
〈荊〉の呪いは、一人の少女を孤独に貶めていた。誰にも触れることができず、特異な力を恐れる周囲の目は、より少女に悲しみの感情を植え付けていった。だが、彼女はある日、自分の手を握ることのできる青年と出会う。彼は自分の記憶を失い、そして痛覚を失っていた。痛みを感じない彼が繋いだ、小さな希望。果たして、それが彼女が求めていたものだったのかは、まだ彼女自身さえ知ることはないのだった。
ミリーナの一言
シオンさんの可愛いところは沢山あるけれど、一番可愛いところは美味しそうに私たちが作ったものを食べてくれるところなの。この前のエドナ様のお茶会でも、私が作ったクッキーを美味しそうに食べてくれたのよ。でも、最後はなんだか物足りなさそうにしていたのは迂闊だったわ。きっと量が足りなかったのね。次はシオンさんが満足してくれるように、いっぱいお菓子を用意しておかないと !
イクスの一言
シオンさんの〈荊〉の力は、触れただけで相手に激痛を与えるみたいなんだ。だから、シオンさんは人一倍気を遣って俺たちとの距離を測ってくれているんだけど、誰にも触れることができないのはやっぱり辛いことなんだろうな……。〈荊〉は確かに恐ろしいものだけど、それでもシオンさんとの信頼関係は築けると思うし、築きたいよ。だから、シオンさんもいつか俺たちのことを、仲間なんだって心から思ってくれると嬉しいな。
キャラクター | 衣装審査 |
---|---|
シオン | ――そうね、こっちの色のほうがいいんじゃないかしら ? |
アルフェン | ん ? あれは、シオンか ?それに、一緒にいるのは……。 |
シェリア | あっ、アルフェン。 |
チェルシー | こんにちは~。 |
シオン | アルフェン ! ? どうしてここに……。 |
アルフェン | どうしてって、たまたま通りかかっただけだ。シオンたちは買い物か ? |
チェルシー | はい ! シオンさんに髪留め用のリボンを選んでもらっていたんです。 |
アルフェン | そうだったのか。シオンも、いつの間にかアジトの人たちと仲良くなっていたんだな。 |
シオン | べ、別にそんな……。ただ、街の案内をしていただけよ。 |
シェリア | この前、シオンがお茶会に来てくれた時に色々とファッションのアドバイスを貰ったの。それで、今度一緒に買い物しようって話になって。 |
チェルシー | シオンさん、凄くセンスがいいんですよ !ああ……私も早くシオンさんみたいな気品のある女性になりたいです~。 |
アルフェン | なるほど、さすがシオンだな。けど、シオンの衣装審査は厳しいぞ。 |
シオン | それは、あなたがそういうことに無頓着すぎたからよ。それに引き換え、この二人はよく考えてるわ。 |
シオン | まず、シェリアの服は赤を基調とした色が綺麗だし胸の青いリボンも、いい対比になっていると思うわ。 |
シオン | チェルシーの服も、一見、防寒機能が薄いように見えてしっかりと保温できるようになっているし動きやすそうなのもいいわね。 |
チェルシー | シオンさん…… !私の拘りを分かってくれるんですね~~ ! |
シェリア | ええ。やっぱり、今日の買い物はシオンに選んでもらうのが一番ね。 |
シオン | そ、そう ?あまり期待されすぎても困るけど……。 |
アルフェン | いや、二人の言った通りシオンの衣装選びは間違いないと思うぞ。 |
シオン | そ、そうかしら ? |
アルフェン | ああ。俺の服装についても色々と助言を貰ったし何より、シオン自身の服装が綺麗だから説得力もあるんじゃないか ? |
シオン | なっ ! ? |
アルフェン | 遺跡でその服を見つけた時も着替え終わったシオンの姿を見て……。 |
シオン | アルフェン ! ! それ以上言うと撃つわよ ! ! |
アルフェン | え ? いや、そんな銃を向けられるようなこと言ったか ! ? |
シオン | いいから、黙りなさい ! |
シェリア | ……はぁ。いいなぁ。 |
チェルシー | シェリアさん ?どうしたんですか ? ため息なんか吐いちゃって……。 |
シェリア | あ、ううん……私の場合、感想どころか気付いてもらえないことのほうが多いから……。 |
チェルシー | ……なるほど。シェリアさんにとってオシャレは悲しみと表裏一体なんですね。 |
キャラクター | 〈荊〉とねむり姫 |
リチア | シオン、今日はアジトに来てくださってありがとうございました。 |
シオン | ……こちらこそ、あなたたちが作ったピーチパイ美味しかったわ。 |
リチア | それは良かったですわ。今度は、シオンもぜひ一緒に作りましょう。 |
シオン | それは……やめておいた方がいいわ。調理場で私が傍にいたら動きにくい。……分かるでしょう ? |
リチア | そんなことは決して……いえ、わたくしたちではなくシオンが気を遣ってしまうことになるのですね。申し訳ありません。 |
シオン | 気にしなくていいわ。だけど……ひとつ聞いてもいいかしら。 |
リチア | はい、何でしょうか ? |
シオン | あなたもそうだけど……どうして、ここにいる人たちは私に関わろうとするの ? |
シオン | 〈荊〉のせいで、私には誰も近づいてこなかった。昔から、私に向けられていたのは、いつでも恐怖に怯える目だったわ。 |
シオン | ……だけど、あなたたちは違う。それが、私には不思議なのよ。 |
リチア | それは……きっと皆も様々な事情を抱えているからだと思いますわ。 |
シオン | ……同情ってこと ? |
リチア | いいえ、そうではありません。皆、人の『痛み』がわかるから放っておけないのです。 |
シオン | 『痛み』……。 |
リチア | 勿論、シオンが感じた『痛み』は、わたくしたちは想像をすることしかできませんがそれでも、歩み寄ることはできます。 |
リチア | わたくしにも、わたくしのスピリアに歩み寄って助けてくれた人たちがいました。 |
リチア | だからこそ、わたくしは知っているのです。人のスピリアは、互いに支え合うことができるのだと。 |
シオン | ……それが私みたいな存在であっても ? |
リチア | はい。たとえ、触れることができなくてもスピリアは繋がることができます。 |
リチア | それに、わたくしから見ると、シオンはもうそういう方々と出会った経験があるように思います。 |
シオン | ……さあ、どうかしらね。 |
リチア | …………。 |
シオン | だけど、あなたたちが私のことを構う理由は理解できたわ。 |
シオン | あなたたちも、お人よしってことね……。 |
リチア | シオン、わたくしたちがお呼びしたらまた、来てくださいますか ? |
シオン | ……そうね、そうさせてもらうわ。せっかく用意してくれた食べ物を粗末にする訳にはいかないから。 |
リチア | ふふっ、ありがとうございます。では、またお誘いしますわ。 |
キャラクター | 新しい風 |
ライラ | あら ? シオンさん。そんなに難しい顔をして、どうしたんですか ? |
シオン | ライラ。エドナのお茶会に持っていくものを作ろうとしていたの。 |
ライラ | まあ ! 素敵ですわ。私もお手伝いさせてください。 |
シオン | 大丈夫よ、と言いたいところだけど……行き詰まっていたしお願いしようかしら。 |
ライラ | はい ♪ ええと、材料はチーズがメインなのですね。チーズケーキとか、チーズタルトでしょうか ?焼き菓子ならお任せください ! |
シオン | 焼くには焼くつもりだけど、お菓子ではないの。 |
ライラ | お菓子ではない…… ?お茶会に持っていくものを作ろうとしていたのでは ? |
シオン | 悩んでいるのはそこよ。何度かお茶会には参加しているけれど甘い物ばかりなのが気になっていたの。 |
ライラ | あら。シオンさんは甘い物がお嫌いでしたっけ ? |
シオン | いいえ。でも、好きだからこそ……と言ったらいいかしら。甘い物ばかりでは飽きてしまうわ。 |
シオン | 甘い物、塩辛い物、甘い物、塩辛い物……交互に食べてこそ飽きずに食べ続けられるというものでしょう ? |
ライラ | たしかに、シオンさんのおっしゃる通りですわね。ん ? でもお茶会の目的ってそういうことでは……。 |
シオン | そこで、ライラにお願いしたいことがあるの。こんなのはどうかと思って準備していたものがあるのだけれど……。 |
ライラ | これは…… !……なるほど、いいかもしれませんね。 |
エドナ | この匂い……なに ? |
ライラ | あ、エドナさん ! |
エドナ | ライラにシオンじゃない。何してるのよ。 |
シオン | ちょうどよかった。この料理を試食してほしいの。 |
ライラ | ささ、こちらにお掛けになって。そしてお皿をどうぞ。 |
エドナ | 何これ ? お皿にのってるのは……ただのふかした芋じゃない。新種の冗談 ? |
シオン | 少し待って。本番はこれからよ。ライラ、行くわよ !私がチーズを完璧な角度で傾けて ! |
ライラ | お任せあれ !私の力でチーズをちょうどいい感じで溶かして ! |
シオン | エドナ、受け取って !これが……ラクレットチーズよ !アツアツのチーズに溺れた芋を召し上がれ ! |
エドナ | はむ……ん、美味しいじゃない。ほくほくのふかし芋に溶けたチーズが絡んでなかなか悪くない仕上がりね。 |
ライラ | やりましたね、シオンさん !これに私の甘い焼き菓子を添えれば…… ! |
シオン | ええ。甘いと塩辛いの無限循環が完成しそうね。ありがとう、ライラ。 |
エドナ | 話が見えないんだけど、一体何なの ? |
ライラ | まだ試作の段階なので秘密です。ね、シオンさん ♪ |
シオン | ええ。私たちがお茶会に新しい風を吹かせるから楽しみにしていてちょうだい。 |
エドナ | ……ろくでもない予感しかしないけど楽しそうで何よりだわ。 |