プロフィール
膨大な量の穢れを纏いし大いなる災いの源。『災禍の顕主』――人は彼のことをそう呼ぶが、彼も元はローランス帝国「白皇騎士団」の初代団長であり、普通の人間であった。憑魔となった今は導師スレイの前に幾度となく立ちはだかり、己の野望を説く。ヘルダルフの野望、それは穢れを受け入れ、世界を本来あるべき姿に戻すこと。しかし人でありし頃からの彼の本当の望みは……。
ミリーナの一言
エドナ様が「ひげネコ」って呼んでいるからてっきり可愛いネコちゃんかと思っていたけれど、魔鏡に姿を映してみたら、想像よりずっと迫力があって、風格すら感じたわ。元々は野心的で良くも悪くも人間らしい人間だったのに、その野心のせいで呪いを受けることになってしまって……。もしもそれが世界の是なのだとしたら、ゲフィオンはもっとひどい呪いを受けなければならないわね。
イクスの一言
スレイたちから聞いたよ。ヘルダルフの過去のこと。同じ立場だったら俺は……二度と立ち上がれないかもしれない。世界を何度も呪ってしまうかもしれない。災禍の顕主になってしまったのもわかる気がする。この世界に具現化されたヘルダルフはあの苦しみを体験していないけれど、また違う苦しみを背負わされてしまったってことが申し訳ないよ。この世界は具現化された人たちの苦しみで生き存えている世界だから。
キャラクター | 途切れた未来 |
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メインシナリオ 4部 第13章の頃のお話です。 | |
サイモン | 我が主よ…… ! 私の声が聴こえますか ? |
ヘルダルフ | ぐ、うう……っ ! |
サイモン | やはり、私との神依が我が主の負荷に…… ! |
サイモン | お守りするどころか、このままでは私のせいでヘルダルフ様が…… ! |
ヘルダルフ | 誰……だ。ワシは……お前のことを知らぬ。 |
サイモン | 私のことをご存じではない…… ! ?ならば……我が主も私とは具現化された時間が異なるのですね。 |
ヘルダルフ | ……そのようだ。ワシはお前のことも導師を名乗るあの小童どものことも知らん。 |
サイモン | それでは、今のヘルダルフ様は……。 |
ヘルダルフ | ワシはゲオルク・ヘルダルフ。ローランス帝国の将軍だ。 |
ヘルダルフ | もっとも、お前たちの知るワシがそう呼ばれているか否かは、知らんがな。 |
サイモン | 我が主……。 |
ヘルダルフ | サイモンといったな。お前は未来のワシに仕えているのか。 |
サイモン | はい。ヘルダルフ様の理想とする世界を創る……我が身はそのための道具にございます。 |
ヘルダルフ | ワシの理想とする世界……か。 |
サイモン | 穢れに身を委ね、あらゆる柵から解放された世界。そこには恐怖も苦痛も存在しない……。あるべき姿に帰した世界です。 |
ヘルダルフ | 恐怖も苦痛もない世界、か。それを追い求めお前を従えていたワシは余程世界に絶望していたと見える。 |
サイモン | それは…… ! |
ヘルダルフ | よい。おおよその想像はつく。く……ふふ……ははは !行くも地獄、退くも地獄とはこのことだな。 |
ヘルダルフ | ……ぐ、う……あああっ !奴には……して、やられたな。いつまで正気を保っていられるか……。 |
サイモン | 我が主 ! お気を確かに !必ずや神依を解き、アルトリウスを打倒してみせます !そして……そしてもう一度、私をお側に ! |
ヘルダルフ | 今のワシはお前の主ではない。仕えたとて、望みどおりの答えは得られぬぞ。 |
サイモン | それでも ! それでも……よいのです。もしも再びお仕えすることが叶うならば今度こそ最期のその時まで、共に……。 |
ヘルダルフ | フ……。お前の絶望の色も大概濃いようだな、サイモン。理想にしがみつかねば、一人で立つこともできぬか。 |
サイモン | そのようなつもりでは……。 |
ヘルダルフ | ま、よい。ならば一つ命じよう。お前の術で我が記憶を補完するのだ、サイモン。 |
ヘルダルフ | お前の知るワシの全てを。ワシの行く末を……抱いた理想の結末を。そして……新しい導師とやらとの邂逅を。 |
サイモン | ……御意のままに。 |
ヘルダルフ | 刃はまだ……折れてはおらぬ。このままでは終わらんぞ……アルトリウスよ。 |
キャラクター | 終わりの始まり |
メインシナリオ 4部 第13章の頃のお話です。 | |
ヘルダルフ | これが……これがワシの行く末だというのか。……ふっふっふ……はっはっはっ…… ! |
サイモン | ご無事ですか、我が主よ。一度に見るにはあまりにも膨大な量かと……。 |
ヘルダルフ | 元の世界でも、ワシは全てから切り離されるのだな。孤独は常にワシの影法師ということか。そして……やがては災禍の顕主に成り果てる。 |
サイモン | あまねく災いの裏に我が主の姿あり。お仕えしていた日々は、身に余る光栄でした。 |
ヘルダルフ | 奇妙な感覚だな。歩む道はまるで異なるというのに未来の自分も今の自分も、結局として行きつく先は同じ……。 |
ヘルダルフ | 人は業を背負う存在ということか。そして穢れを生む。 |
サイモン | 仰るとおりにございます。 |
ヘルダルフ | ならば、なぜ抗い、苦しむ ?のう……導師スレイよ。 |
スレイ | 摂理に従うのが生きる事だっていうのか。 |
ヘルダルフ | 無論の事よ。 |
スレイ | 違う ! それは死んでないだけだ。それがどれだけ苦しいことかお前は知ってるはずだ ! |
ヘルダルフ | ……導師スレイよ。お前は小童のくせに最後まで抗ったか。 |
スレイ | こんな事でしか救えないなんて……。おやすみ……ヘルダルフ……。永遠の孤独は今、終わった。 |
ヘルダルフ | …………。 |
ヘルダルフ | ……サイモン。この世界で邂逅した時の様子だと導師たちも具現化された時間が異なるのだろう ? |
サイモン | はい。あやつらは私のことを知らなかったのでおそらく。 |
ヘルダルフ | なるほどな。どうりで、幻術で見た姿よりも腹が据わっておらんはずよ。 |
ヘルダルフ | のう、サイモン。惜しくはないか ?穢れに満ちたこの血が沸くほどに愉快な未来をこの世界ではワシとお前しか知らぬとは。 |
サイモン | は……。 |
ヘルダルフ | それに……このワシが渇望しようともその未来は掌中には収まらん。実に……実に……ぐ、うう……っ。 |
ヘルダルフ | 実に……惜しい……ことよ……。そろそろ……ワシもお前も限界のようだな。 |
ヘルダルフ | しかしこのままここで果てはせぬ。この世に生を受けた以上内なる望みを果たそうとするも人の性よ。 |
ヘルダルフ | 時の果てのワシが導師を堕とそうとしたようにここに生まれ落ちたワシも導師に酬いてやらねばな。 |
サイモン | 我が主の御意のままに。このサイモンも、全ての力で主に尽くします。 |
ヘルダルフ | あの結末はワシのものにはならん。だが捩れた現実をこの手で壊すことはできる。そうだろう……導師『たち』よ。 |
キャラクター | 災禍と別れ |
メインシナリオ 4部 第13章の頃のお話です。 | |
サイモン | ……我が主。 |
ヘルダルフ ? | ワシの亡骸を埋め終わったか。今度こそ、お前は自由の身だ。 |
ヘルダルフ ? | そして、この先はお前が望めばここにいる我が幻も消えることとなるだろう。 |
サイモン | ですが、私はまだ、この結末が正しかったのか答えが出せないままです。 |
ヘルダルフの幻 | 答えなど必要ない。結果が全てだ。 |
サイモン | ですが、私が主を失ったのはこれで二度目なのです。 |
ヘルダルフの幻 | ならば、お前は一度ワシを失った先を生きたのだろう。再びそうすればよい。 |
ヘルダルフの幻 | ……ワシは、お前の力によってあの憎き導師に一矢報いることができた。 |
ヘルダルフの幻 | このような言動さえお前自身が生み出している幻だと解釈するか ? |
サイモン | …………。 |
ヘルダルフの幻 | まあよい。世界はあの導師が望む下らぬものにはならなかったのだからな。 |
ヘルダルフの幻 | 何より、あれほど否定し続けた業にあの男は打ち破れ、この世を去ることとなった。ワシとは違う、災禍の顕主によってな。 |
ヘルダルフの幻 | だが、その道の先をワシが見ることはできぬ。だからこそ、お前に後を託したのだ。 |
サイモン | ……心得ております。 |
ヘルダルフの幻 | ならば、ワシに答えを求める必要などあるまい。人間も天族も、自由に生きるのが本来の姿だろう。 |
ヘルダルフの幻 | この世界には導師スレイだけでなく面白い者たちが集められている。その行く末を見届けるのも一興だ。 |
サイモン | ……感謝いたします、我が主。ですが、あの者たちはいまだ戦いに身を投じています。 |
ヘルダルフの幻 | もし生き残った暁にはお前の求める答えを探してみるがいい。 |
ヘルダルフの幻 | しかし、同じ導師でありながらこうも異なるとは面白いものだ。 |
サイモン | 導師スレイと導師アルトリウス……。どちらも穢れの浄化を目指していたはず……。 |
ヘルダルフの幻 | アルトリウスが進んだ道も一種の業であろう。人を認め、信じる導師スレイとは違ってな。 |
ヘルダルフの幻 | ……長話もここまでか。お前の力ならワシの幻を作ることなど造作もないのだろうがひとまずは別れを告げるとしよう。 |
サイモン | ……はい、我が主よ。私はその意思に背くことなく、この世界を見届けることを約束します。 |
ヘルダルフの幻 | ふっ、お前の好きにするがいい。 |
サイモン | ……ヘルダルフ様。どうか安らかに、お眠りください。 |