プロフィール
少女にとってレナ人は侵略者であり、憎むべき仇の仲間だった。しかし、その敵の一員であるはずのシオンやテュオハリムと接していく内に、少女の心情に変化が生まれる。その変化は、やがて彼女自身が疎んでいたはずの魔法使いとしての力と向き合うきっかけをあたえることになるのだった。
ミリーナの一言
この前、リンウェルに出会えた記念に彼女が好きなアイスクリームを作ってご馳走したの。すごく喜んでくれたのよ。その時の笑顔ときたら、もうすごく幸せそうで可愛くて、ついつい頭をなでなでしちゃったわ。リンウェルの笑顔には相手を幸せにしてくれる魔法がかかっているんじゃないかしら。でもすごく恥ずかしそうにしていたから、次からはちゃんとなでなでの許可をもらわないとね。
イクスの一言
リンウェルは魔法使いの一族の末裔で、レナ人しか使えないはずの星霊術を使うことができるそうなんだ。でもそのせいで力を隠しておかなければいけなくて、最初はアルフェンさんたちにも秘密にしていたんだって。嫌な思いも沢山したんじゃないかと思うけど、この力で仲間を守れるって前向きに話してて、俺もリンウェルの強さを見習いたいって思ったよ。どんな力も、使う人の心持ち次第だもんな。
キャラクター | いつもの二人 |
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ダークかめにん | チッ ! バレてしまったからには、さっさと撤退っす !覚えてやがれっすよー ! |
レイス | ……やれやれ、逃げ足の速いことだ。君も災難だったね。次からは気を付けるといい。 |
リンウェル | あ、レイスさん、だったよね。助けてくれて、本当にありがとう。 |
リンウェル | まさか、あのカメの人が売ってた骨董品が全部偽物だったなんて……。もっとよく見ておけばわかったかもしれないのに……。 |
レイス | そうさせないように、相手も言葉巧みに君を騙して買わせようとしていたのだろうね。ところで、君は骨董品に興味があるのかい ? |
リンウェル | う、うん。装飾や作りから、いろんな歴史や背景が分かるのが楽しくて、ついつい見ちゃうんだ。 |
レイス | だったら、この壺なんてどうだい ?オルバース大陸の遺跡から発見された壺なんだが通常一万のところを今なら五千ガルドでお譲りしよう ! |
リンウェル | ええっ ! ? も、もしかしてレイスさんも私を騙そうと…… ? あっ、でも、この壺……本当に珍しい装飾がされてる。 |
レイス | なるほど、君の鑑識眼は本物みたいだ。手に取って、よく見てくれても構わないよ。買うかどうかは、そのあとに決めればいい。 |
リンウェル | いいの ? じゃあ、ちょっとだけ……。 |
ロウ | ――お前、こんなとこにいたのかよ。勝手にどっか行くから探したじゃねえか。 |
リンウェル | きゃあ ! ? |
ロウ | うおっと ! ? あぶねぇ !ったく、何やってんだよ。俺が受け止めなきゃこの壺、割るとこだったぞ ? |
リンウェル | ロウがいきなり引っ張るからじゃない !本当に加減知らないんだから ! |
ロウ | お、俺のせいかよ ! ?俺はお前が迷子になってんのかと思ったからずっと捜し回ってたんだぞ ! |
リンウェル | 勝手にいなくなったのはそっちでしょ !大体、今日の買い物だってロウがどうしてもお肉が食べたいっていうから付き合ってあげたのに―― |
レイス | ……ふっ。ははははっ ! |
リンウェル | レ……レイスさん ? どうしたの ? |
レイス | いや、すまない。君たちのやりとりを見ていると私の友人たちのことが目に浮かんでね。 |
レイス | 彼らも今の君たちのようによく言い争いをしていたものさ。 |
リンウェル | えっ ? じゃあ、その人たちって仲が悪かったの ? |
レイス | そんなことはない。彼らは互いに信頼しているからこそ相手の前では素直になっていたんだよ。 |
レイス | だから君も、彼に対してはそうなんじゃないかと思ってね。 |
リンウェル | べ、別に信頼なんて…… !大体、いつもロウが余計なことを言うから怒ってるだけで…… ! |
ロウ | 余計なことなんて言ってねえだろ !いつもお前が勝手に怒ってるだけで……。 |
リンウェル | うるさい ! ――サンダーブレード ! |
ロウ | おわっ ! だから、急にそれやるの止めろって ! |
レイス | ふむ、見ているこちらは微笑ましいものなのだが当事者同士は、案外気付かないものなのかもしれないな。 |
キャラクター | 魔法使い |
リンウェル | ――あっ、いけない。もうこんな時間 !私、そろそろ帰らないと……。 |
エステル | すみません ! わたしがついつい話し込んでしまったせいですね……。 |
リンウェル | ううん、そんなことないよ。エステルのお話、凄く面白かったから私も、もっと聞きたかったくらい。 |
リタ | あんたたち、まだ話し足りないの ?あれだけずっと自分の好きな本の話をしてたのに。 |
エステル | はい、まだまだ全然足りません !今度はエステル読書会の人たちも呼んでまたお茶会を開きましょう。 |
リンウェル | うん、楽しみにしてるね ! |
エステル | そうです ♪ちょうど読み終わった本があるのでリンウェルも読んでみません ? |
リンウェル | えっ、いいの ? |
エステル | もちろんです !そうしたら、次に会う時にお互いの感想を言い合えて楽しいと思いますし。 |
リンウェル | じゃ、じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな。この本ってどんなお話なの ? |
エステル | はい ! 少しあらすじを説明すると魔法使いの女の子が世界中を旅するお話なんです。 |
リンウェル | 魔法使い……。 |
エステル | はい。その女の子は、自分だけが使える魔法の力で仲間と困難を乗り越えたり、時には困っている人を助けたりするんです ♪ |
リンウェル | ……そっか。 |
エステル | ……リンウェル ?もしかして、あまり好みのお話ではなかったです ? |
リンウェル | えっ ? ううん ! そんなことはないんだけど……。ただ、その魔法使いの女の子は……本当は普通の子でいたかったって思ったりしないのかな ? |
リタ | どういうこと ? |
リンウェル | だって、その子の魔法は特別な力なんだよね ?だったら、どうして自分だけそんな力が使えるのかって考えたりしないのかなって……。 |
リンウェル | ……って、ごめん、変なこと言っちゃって。別にその本に言うことじゃないよね。 |
エステル | ……いえ、確かに特別な力を持っているとそれだけで自分が他の人とは違うと悩んでしまうことがあるかもしれません。 |
リタ | …………。 |
エステル | ですが、例え特別な力だとしてもしっかり向き合うことが、わたしは大切だと思います。 |
リンウェル | しっかり向き合うこと…… ? |
エステル | はい。そうすれば、今まで見えていた景色も違ったように見えるかもしれません。 |
リンウェル | そっか……そう、だよね。でなきゃいつまで経っても答えなんて出ないよね。 |
エステル | ……リンウェル ? |
リンウェル | ううん、なんでもない。でも……ありがとう、エステル。なんだか、ちょっとスッキリしたかも。 |
リンウェル | この本、大事に読ませてもらうね。それじゃあ二人とも、またね。 |
エステル | えっ ? は、はい……。えっと、リタ。わたし、リンウェルからお礼を言われるようなことをしたでしょうか ? |
リタ | さあ、どうかしら。気になるなら今度聞いてみたら ?あんたが渡した本の感想と一緒にね。 |
キャラクター | 雪の日の出会い |
リンウェル | 今日はいいお肉が手に入ってよかったね、フルル !夕飯はビーフシチューにしようかな。 |
フルル | フルルゥ !フル ? ……フルルゥ ! フルゥ ! |
リンウェル | ん、どうしたの ?あそこに何か――あっ ! |
リンウェル | リタ ! 大丈夫 ? 転んじゃったの ! ? |
リタ | み、見ればわかるでしょ。あいたたた……。もー、まさかここだけ凍ってるなんて思わなかったわ。 |
リンウェル | あー、今朝はすっごく寒かったし……。 |
リンウェル | にしても、すごい荷物だね。重そうだし、それのせいもあるかも。 |
リタ | まあねえ。これ、全部本だし。 |
リンウェル | え、これ全部 ! ?すごい、何冊あるの ! ? |
リタ | 全部持ち帰れなくて送ったやつもあるから。三十……四十冊くらい ? 仕入れたんだけど。 |
リンウェル | そんなに ! ?地質学の本と、工学の本と……あ、星霊術についての本もある ! |
リタ | 一番の目的がそれね。あちこち回ってみると別の世界の技術や学問の文献が見つかるのよ。 |
リタ | で、ここにはあんたたちの術についての本があるっていうから、探しに来たの。 |
リンウェル | へえ、そうなんだ ! 知らなかった……。どんなことが書いてあるんだろう ? |
リンウェル | ……ねえ、リタ。転んじゃって服、濡れてるでしょ ? |
リンウェル | よかったらうちで温まっていかない ?これから夕飯にしようと思ってたところだし。 |
リタ | で、あたしが買った本を見せてほしいって ? |
リンウェル | えへへ……ダメ ? |
リタ | ダメじゃないわよ。あんたからも話を聞きたいしね。 |
リタ | この本に書かれていることと、あんたの知識を照らし合わせたら面白い発見がありそうだもの。 |
リンウェル | やった !何が書いてあるのかどうしても気になっちゃって。 |
リンウェル | そうだ、うちにも色々本があるんだ。よかったら見ていってよ。 |
リタ | もちろんよ。他の人が読んでる本って意外な発見があったりするから好きなのよね。 |
リンウェル | そうそう、自分一人だとどうしても偏っちゃうからね。あ、ちなみに今日はいいお肉が手に入ったから夕飯はビーフシチューだよ ! |
リタ | いいわね。それじゃ、ごちそうになりながら色々と聞かせてもらおうかしら。 |
リタ | 転んじゃってサイアク、とか思ってたけど悪いことばかりじゃなかったみたいね。 |
リンウェル | これで釣り合いがとれるかな ? |
リタ | ええ、お釣りが来そうよ。じゃ、さっそくあんたの家に案内してくれる ?さすがにそろそろ寒いし。 |
リンウェル | わ、そうだよね。こっちだよ !本も半分持つね。 |
リンウェル | よ~し、今夜は思いっきりおしゃべりしよう ! |
キャラクター | 思わぬ火種 |
マーク | やっぱり安かったろ、あの店の食材 ! |
キサラ | ああ。おかげで随分と節約することができた。ありがとう。 |
マーク | パイセンは大食いだから材料もしこたま買わないとな。 |
カーリャ・N | マーク ! 一言余計ですよ。 |
マーク | ははっ ! 事実だろ、パイセン。――じゃあ、パイセンのことよろしく頼むな。美味い物をたらふく食わせてやってくれ。 |
キサラ | よし、では早速食事の準備に取り掛かるとしよう。 |
リンウェル | うん ! ところで……気になってたんだけどなんでネヴァンはマークにパイセンって呼ばれてるの ? |
カーリャ・N | 何故かと改めて聞かれると、答えに困りますが……マークよりも私のほうがあらゆる意味で先輩……だからでしょうか。 |
リンウェル | 先輩ってことは……見た目はあんまり変わらないように見えるけどネヴァンのほうがマークより年上なの ? |
キサラ | 色んな事情があるんだろう。私たちと同じ物差しで比べるのは難しいと思うぞ |
キサラ | それに、年齢以外にも先輩の定義は存在する。経験や素質が優れていたり、立場が上だったりな。 |
リンウェル | なるほど。じゃあ、キサラもネヴァンも私からしたら先輩だね ! |
リンウェル | あ、違うか。キサラパイセン ! ネヴァンパイセン ! |
リンウェル | ネヴァンパイセンはこの世界の先輩だしキサラパイセンは今も元の世界でも強くて頼れる存在だし。 |
カーリャ・N | ふふふ。なんだか照れ臭いですね。 |
キサラ | ああ。悪い気はしないが、少しくすぐったいな。 |
ロウ | あ~、腹減った !今日の夕飯はなんだ ? 肉か ? |
リンウェル | ロウ ! 暇なら手伝ってよ。 |
ロウ | 俺は昨日やったっての !今日の料理当番はリンウェルたちだろ。 |
カーリャ・N | ……リンウェル様とロウ様でしたらどちらが先輩になるのでしょうか ? |
ロウ | 俺とリンウェル ?そんなの、俺が先輩に決まってるだろ。 |
リンウェル | ちょっと !ロウの一体どこに先輩要素があるって言うの ! ? |
ロウ | どこにって……お前より大人っぽいところとか ? |
リンウェル | はあ ?ロウなんて、全然子供っぽいしそもそも野菜が苦手じゃん ! |
ロウ | 野菜より肉のほうが好きってだけじゃねえか !お前だってアイスばっか食ってるだろ。 |
リンウェル | う……。だ、大体こんな話で熱くなってる時点でぜんっぜん先輩っぽくないし ! |
ロウ | おま……っ !それ、そっくりそのまま返してやりてえ…… ! |
カーリャ・N | ……すみません。私が余計なことを言ってしまったばかりに……。 |
キサラ | いや、謝らなくていい。可愛い後輩が増えたと思って見守ってやってくれ。 |