プロフィール
レナの秘密警察〈蛇の目〉に身を置いていたダナの少年。敵に屈服しその手先として働くことに葛藤しつつ、必要悪と自らを欺き続けてきた。だがアルフェンたちとの出会いをきっかけに、彼はもう一度、足掻くことを選ぶ。今度こそ折れない強さ。それは、かつて彼が追い続けた父親の背中でもあった。
ミリーナの一言
ロウさんはとても真っ直ぐな人なの。私やイクスと初めて会った時も、すぐに打ち解けて色々なお話を聞かせてくれたのよ。あんな風に誰とでも仲良く話せるってことは、誰に対してもさりげなく気遣いができる、細やかな心の持ち主なんじゃないかしら。きっとロウさんに心を救われた人もいるんだと思うの。また色んなお話を聞かせて欲しいわ。
イクスの一言
このところちょっと怠けてたから、いい機会だと思って、この間ロウと一緒に戦闘訓練をやってきたんだ。元の世界でも、アルフェンさんとよく訓練をしていたらしくて、この世界に来てからも鍛錬を怠らなかったんだって。きっと、そういう努力の積み重ねが、ロウの技により一層磨きをかけているんだろうな。俺もロウを見習って、ちゃんと基本の鍛錬を怠らないようにするよ。
キャラクター | 更なる高みを目指して |
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ロウ | よんじゅうはち…… ! よんじゅうく…… !よし、次で最後…… ! |
アルフェン | ここで鍛錬してたのか、ロウ。 |
ロウ | ごじゅ…… ! って、アルフェンか。どうしたんだ ? |
アルフェン | お前に用があるって人を連れてきたんだ。 |
ディオ | あんたがロウさんだな。オレはディオ、そんで、こっちがメルです。 |
ロウ | ああ、よろしく。で、俺になんの用だ ? |
メル | わたしたち、パスカルさんに頼まれてロウさん宛ての荷物を届けに来ました。 |
ロウ | おっ、もしかして頼んでおいたものが完成したのか ! ? |
ディオ | それが、オレたちも箱を渡されただけなんで詳しくは知らないんです。 |
ロウ | そっか。そうだ、なんなら見てくか ?ちゃんと注文通りなら……おっ、これだ ! |
アルフェン | ……ロウ、なんなんだ、これ ?色んな部品に腕みたいなのが付いてるが……。 |
ロウ | よくぞ聞いてくれたぜ !これはな、身体に装着するだけで全身が鍛えられる道具名付けて『超強力トレーニングアームEX』だ ! |
ディオ | おおおおおおっ ! なんかカッケー ! ! |
メル | カッコいい……かな ? |
ディオ | メルには分かんないんだよ。なあなあ、ロウさん。それ、早速付けてみてくれよ ! |
ロウ | おうよ ! 腕と足に装着してボタンを押せば……おおっ ! こいつはすげぇ…… ! !歩けないどころか、全然動けねぇ…… ! ! |
アルフェン | そんなに強力なのか。でも、確かにそれを装着しながら身体を動かせばいつも以上に鍛えられるかもしれないな。 |
メル | …………ねぇ、一つ気になったんだけど動けないってことは、自分で取り外し出来なくなる、なんてことはない……よね ? |
三人 | ……あっ。 |
アルフェン | だ、大丈夫だ ! いざとなったら、俺たちが取り外せばいいだけだし……。 |
ディオ | そ、そうだぜメル ! それに、パスカルさんがちゃんと説明書も一緒に付けてくれてるし、これを見れば……ああっーー ! ! |
ロウ | な、なんだ ! ? |
ディオ | そ、それが……説明書には『一度装着したら、丸一日は外せないよ~』って書いてあるんだ……。 |
ロウ | な、なにっ ! ? それじゃあ、俺は飯を食う時も寝る時も、これを付けとかなきゃいけないのかよ ! ? |
メル | ど、どうするの ! ? ディオが変なこと頼むからロウさんが大変なことになっちゃったじゃない ! |
ディオ | お、オレのせいかよ !でも、パスカルさんに話せば解除してくれるはず……。 |
ロウ | ……いや ! ! その必要はねえ ! !うおおおおおおおおおっ ! ! |
ディオ | す、すげぇ ! ? さっきまで全然動けなかったのにロウさん、ちゃんと歩いてる ! ? |
ロウ | こうなったら、とことんやってやる ! !俺は……自分の限界を超えるっ ! ! |
アルフェン | まあ、ロウがそれでいいならいいがまたシオンたちには呆れられそうだな……。 |
キャラクター | その強さの先に |
ティトレイ | ――よっしゃあ ! これで、この辺りの魔物は全部片付いたな ! |
ヴェイグ | すまない、ロウ。オレたちの用事に付き合わせてしまったな。 |
ロウ | 気にすんなって。それに、近くの村の人たちが困ってるなら手を貸さない訳にはいかないだろ ? |
ティトレイ | ロウ、お前ってやっぱいい奴だな !それに、技のキレも大したもんだったぜ ! |
ヴェイグ | 確かに、いい動きをしていたな。あれは一朝一夕で得られるものじゃない。 |
ティトレイ | もしかして、ジュードやファラみたいに誰かから教わったりしてたのか ? |
ロウ | ……餓鬼の頃から親父に叩き込まれたんだ。生き抜くために必要だとかなんとか言われてさ。 |
ヴェイグ | 生き抜くため、か。お前も多くの苦難を乗り越えてきたんだな。 |
ロウ | まあな。なんだかんだあったけど俺が今生きていられるのは親父のおかげかもな。 |
ロウ | ……けど、俺は多分、まだ本当の強さってやつには程遠いような気がするんだ。 |
ティトレイ | そうか ? おれはロウも十分強いと思うぜ ? |
ロウ | そりゃ、俺だって鍛えちゃいるつもりさ。けど、それでもやっぱり俺はまだ親父やアルフェンみたいにはいかねえんだ。 |
ロウ | もしかしたら、このままいつまでも追い付けないんじゃないかって思うこともある。 |
ティトレイ | ……なるほどな。だったら、これから強くなればいいだけだろ ? |
ロウ | えっ ? |
ティトレイ | おれには難しいことは分からねえけど悩んでるってことは、そうなれるように真剣に努力してるって証拠だろ ? |
ティトレイ | それに、おれは会ったときからお前のことはすげえ熱い奴だって思ってたぜ !おれやヴェイグと一緒でな ! |
ティトレイ | だから、おれたちが保証してやるさ。絶対、ロウは強い男になるってな ! |
ヴェイグ | ロウはともかく、オレはお前と一緒にされるのは御免だ。 |
ティトレイ | なにっ ! ? そりゃねーぜ、ヴェイグ ! |
ヴェイグ | ……だが、ティトレイの言う通り目標があるのなら、それに向かって前に進めばいい。一歩ずつでも、確実にな。 |
ティトレイ | そうだぜ ! それに、ロウにも大事な仲間たちがいるんだろ ? そういう奴らがいると自分も強くなれたりするもんだぜ。 |
ロウ | 大事な仲間……か。ああ、そうだな。俺にも、強くなりたい理由ができたんだ…… ! |
ロウ | だったら、立ち止まってる暇なんてねえよな ! |
ティトレイ | その意気だぜ、ロウ ! そんじゃあ、景気づけに帰ったらおれの特製カレーをご馳走してやるから、楽しみにしとけよ ! |
ロウ | 本当か !なら、肉たっぷりで頼むぜ ! |
ティトレイ | おう ! 任せな !んじゃ、このまま食材探しといくか ! |
ヴェイグ | ……ふっ。仕方ない。もう少しだけ、騒がしいのに付き合ってやるとするか。 |
キャラクター | 片思い大作戦 |
ロウ | はあ ? 今そんな話してないだろ。 |
リンウェル | してましたー。ロウのそういう一言余計なとこちっとも成長しないよね。 |
ロウ | 成長しないのはお前だって同じだろ。この世界に来てから背が伸びたわけでもねえし。 |
リンウェル | その成長じゃないってば。もういい ! 私行くから。 |
ロウ | あ、おい !なんだよ……。 |
クロエ | リンウェルの言い分の方が的を射ていたな。 |
ロウ | うわあっ ! なんだ、クロエか。驚かすなよ。 |
クロエ | すまない。出るに出れず一部始終立ち聞きする形となってしまった。ちなみに一つ聞きたいことがあるんだが。いいだろうか ? |
ロウ | あ、ああ……なんだ ? |
クロエ | リンウェルとはよく小競り合いをするのか ? |
ロウ | 小競り合いっていうかわかんねーけどよ。気が付いたらなんか怒らせちまったってことはあるかな……。 |
クロエ | そういうつもりで言ったわけではないのに誤解させてしまうとか ? |
ロウ | そうそう。 |
クロエ | 気を利かせたつもりが余計なお世話になっているとか ? |
ロウ | あるある。 |
クロエ | なるほどな。つまり……片思いか。 |
ロウ | うんうん……って、ちげーよ !なんでそうなるんだよ ! ! |
クロエ | 鈍いなりに、リンウェルが先ほどのように怒れば後味が悪いだろう ? |
ロウ | しれっと鈍いとか言うなよ。まあ……後味悪いっつーか、気にはなるよな。 |
ロウ | ってかさっきからやけに質問が具体的じゃねえか ?まさかクロエも……。 |
クロエ | ……身に覚えがないわけではないからな。他人事と思えず、つい。偉そうなことを言える立場ではないのだが……。 |
クロエ | 大切な相手の怒った顔や困り顔を見るより笑顔を見たいと思わないか ? |
ロウ | そうだな。あいつの笑った顔は悪くないっつーか……普通にあいつと喋りたいだけっつーか……。 |
ロウ | と、とにかく !なんかほっとけねえって感じなんだよ。 |
クロエ | ならば根本的な改革が必要だな。思うに、お前は彼女の言う通り余計な一言が多い。あと、考えるよりも先に口が動いている。 |
ロウ | お、おう……。なんか冷静に分析されるとすげえ気まずいな……。 |
クロエ | 改善点は指摘できるが、直す手段までは私一人だと荷が重い。よし、こうしよう。 |
ロウ | 嫌な予感すんだけど……。 |
クロエ | ロウの片思い大作戦を始動させよう !そうと決まれば早速皆にも声を―― |
ロウ | やめろ ! ! 頼むからやめてくれー ! ! |
キャラクター | 柔と剛 |
ロウ | おらぁっ ! |
ジルファ | どうした、そんなものか ?その程度の蹴りで俺は倒せんぞ。 |
ロウ | 今のは挨拶代わりだ !まだまだ、こんなもんじゃ――うおっ ! ? |
ジルファ | 戦いの最中に、隙を見せるな。敵はお前の話が終わるのを待ってはくれない。 |
ロウ | クッソ親父…… !絶対ぶっ倒してやるぜ ! |
リンウェル | ふ、二人とも大丈夫かな…… ?あんな本気で殴り合って。 |
キサラ | 大丈夫じゃないか ?あの親子なりの交流なんだろう。 |
ロウ | はぁぁぁっ ! !おらおらおらっ ! ! |
ジルファ | 隙を与えず、ひたすらに攻め続ける……俺の教えた戦い方を覚えていたか。 |
ロウ | 当たり前だろ。打ち込めば打ち込むほど心が燃えて力が湧いてくる……っ ! |
ジルファ | ふっ……嬉しいもんだ。……だが ! |
ロウ | うぉっ ! ? |
ジルファ | 同じ戦い方なら、俺に一日の長がある。体格も俺の方が上だ。このままじゃ押し切られちまうぞ。 |
ジルファ | さあ、どうする……っ ! |
ロウ | ちっ…… !確かに、これじゃジリ貧だ。何か手を打たねえと…… ! |
ジルファ | いつまで避け続ける気だ ?攻めが止まっているぞ ! |
ロウ | ガタイも、腕っぷしも親父が上……それをひっくり返すには、これしかねえっ ! |
ロウ | ――今だっ !とりゃぁっ ! ! |
ジルファ | むっ…… ! ? |
ロウ | はぁ……はぁ……。どうだ、親父 ? 今のは効いただろ。 |
ジルファ | ふ……ああ、最高の一撃だった。俺の拳の勢いを利用して、反撃を叩き込むとはな。 |
ジルファ | 今日はお前に、昔教えられなかったことを教えてやるつもりだったんだが……その必要もなかったようだ。 |
ロウ | 昔教えられなかったこと…… ? |
ジルファ | ……俺がお前に教えたのは、俺なりの戦い方だ。どんな攻撃が来ようと、ひるまずに受けて自分の拳を打ち続ける。 |
ジルファ | だが、身軽なお前には俺とは違うやり方がある。素早さと鋭さで攻める戦い……お前が子供の頃はそこまで教えてやれなかった。 |
ロウ | 俺は別に、そんな考えてたわけじゃねえよ。ただ、親父に教わったことを俺なりに貫いただけだ。攻め続けるにはどうすりゃいいかってさ。 |
ジルファ | そう謙遜するな。もう一戦行くぞ。今度は手加減なしだ。 |
ロウ | 今ので手加減してたのかよ…… ! ?くそっ、次はそんな余裕与えねえぞ ! |
キサラ | ……ふふ。楽しそうだな、ロウもジルファも。 |
リンウェル | うん。二人とも……ずっとこういう日が来るのを待ってたんだろうね。 |