プロフィール
レナ人でありながら、ダナ人を尊重する善政を敷いていた変わり者の領将。しかしその統治は、心を抉る悲鳴から逃れるための副産物でしかなかった。空虚な本質を晒したあともなお自分と向き合い続けてくれたアルフェンたちと共に、彼は過去を直視する決意をする。ようやく歩みを進めたテュオハリムの横には、変わらずキサラや仲間の姿があった。
ミリーナの一言
過去のトラウマと向き合うことって、すごく怖いことだと思うの。私にも経験があるからわかるわ。真正面から見つめたら、やっぱり受け入れきれなくて目を逸らしてしまうかもしれない。もう一度ゼロからやり直したくなって地団駄を踏んでしまうかもしれない。でも、テュオハリムさんは前に進むことを決めたのよね。今の自分だからこそ出来ることを探し続けるテュオハリムさんは、とても強い人なんだと思うわ。
イクスの一言
テュオハリムさんって大勢の民の尊敬を集めていた領主だって聞いていたし、立ち振る舞いも品がある感じで、最初は少しだけ近寄りがたさを感じてたんだ。でもこの世界のいろんなことに興味があるみたいで、俺やミリーナだけじゃなくてみんなに気さくに話しかけててさ。いつの間にかテュオハリムさんを中心に輪が出来上がっていたよ。あ……でも何かの用事の途中だったみたいで、探しに来たキサラさんたちに叱られてた。クールで寡黙に見えがちだけど、少し抜けているところもあるんだな。
キャラクター | 奇跡のセッション |
---|---|
ジョニー | ~♪ |
テュオハリム | 弦の音に導かれて足を運んでみれば……君はジョニーといったか。 |
ジョニー | そういうお前さんは、テュオハリムだな。あんたも音楽を嗜むのか ? |
テュオハリム | 耳を傾けることはしばしば。この世界にも、興味深い旋律が溢れているからな。 |
ジョニー | ふーむ ? それにしては 弦を見つめる眼差しが意味ありげだったがね。迷い、切なさ……妄執 ? ってところか。 |
テュオハリム | このわずかな時間でそこまで立ち入られるとはいささか、遠慮がないな。 |
ジョニー | いや、悪い。そういうつもりじゃないんだ。ただ俺はずっと探しているのさ。この世界で共に弦を手に、語り合える仲間を。 |
テュオハリム | この世界で……。君は、この世界で生きていくことに迷いはないのか ? |
ジョニー | あるさ。いや、あった、と言うほうが正しいな。お前さんは来たばかりだから絶賛その迷いの渦の中にいるんだろう ? |
テュオハリム | 元の世界ですべきと定めたことのあった身だ。否定はしない。 |
ジョニー | お前さんたちのことはまだよくわかっちゃいないがその点で言えば俺も同じさ。 |
ジョニー | そうだな。一つ言えるとしたら……前を見て、ここでしか奏でられない旋律を奏でていくしかないんじゃないか ? |
テュオハリム | ここでしか奏でられない旋律、か。私にはまだ……楽器を手にする資格はない。いつかその日が来るかどうかも。 |
ジョニー | ま、ゆっくりやっていこうぜ。今日のところは俺が代わりに奏でてやるよ。テュオハリムとの語らいを祝して、いざ……。 |
マギルゥ | ふんふんふ~ん。おや ?おお~ ! なかなかにナイスな音楽じゃの ! |
ジョニー | マギルゥも一緒にどうだ ? |
マギルゥ | お誘いあらば、必要以上に乗るのが団長の常 !儂の舞をとくとご覧あれ~♪ |
マギルゥ | あそれ ! ひょんなことからこの世に集いし音楽を愛し音楽に愛されし者たち ♪今ここに生まれる泡沫の旋律よ、永遠なれ~ ♪ |
テュオハリム | む…… ! |
ジョニー | これは…… ! |
マギルゥ | どうしたのじゃ ? |
ジョニー | こういうことかもしれないな、テュオハリム。 |
テュオハリム | 不協和音に限りなく近いようでいて奇跡のように共鳴する……なかなかに興味深い。 |
ジョニー | これはもう、組むしかないな。俺たち3人でユニットを。 |
テュオハリム | しかし私は……。 |
ジョニー | しばらくお前さんは最高顧問だ。その素晴らしい耳で、俺たちの奇跡のセッションをテイスティングしてくれよな。 |
テュオハリム | なるほどな。そういうことであれば協力しよう。 |
マギルゥ | おお ? おおお ?ようわからんが楽しそうじゃな !してユニット名は何にするかの ? |
テュオハリム | そうだな。私の元いた世界の言葉に、こういうものが……。 |
キサラ | あ、テュオハリム……。ふふ。何を話しているのかわからないが馴染めているようでよかった。 |
キャラクター | 皆が元気であるように |
テュオハリム | ふむ……なるほどな。 |
レイヴン | お、テュオハリムじゃないの。何か調べもの ? |
リタ | こんなにあれこれ文献引っ張り出しちゃって。何々 ? 各地の新年行事…… ? |
テュオハリム | この世界に来た時に滞在した村の文化が興味深くてね。新年を迎えるため大切に積み上げる日々、そして年が明けた瞬間の高揚感……。 |
テュオハリム | もっと深く知りたいと思いこうして文献を紐解いていたのだ。 |
レイヴン | どれどれ。へ~、この艶やかな着物なんてジュディスちゃんに似合いそう ♪ |
リタ | 見て、これ。『お年玉』だって。お正月に子供たちにあげるもので無事の成長を祈る意味がある。ふーん。 |
レイヴン | 何をあげるの ?おとしだま、っていうからには……玉 ? |
リタ | 昔は魔除けの意味で餅とかをあげてたみたいよ。時代と共にいろいろと変化を遂げて今は現金をあげるのが一般的みたいね。 |
テュオハリム | …………。 |
レイヴン | 現金 ! ? お子様に現金を包んじゃうの ?お子様だけずるいんでない ?そんなのおっさんも欲しいわよ。 |
リタ | 儀礼的なもんだから小銭とかでしょ、普通。……って、ちょっと、テュオハリム。その札束はなに ? |
テュオハリム | 奇しくも今はちょうど正月に近いだろう。皆が息災であるように、私もお年玉とやらを配ってみようかとね。 |
レイヴン | いやいやいやその厚み ! その包み方 !何なの ? 賄賂なの ?見た感じ別のものになっちゃってるわよ ! |
テュオハリム | 祈りを込めるものなのだろう ?ならば媒介となる金は多いほうがよかろう。 |
リタ | だからって、限度ってもんがあるでしょうが !なるほど……これがキサラの言っていた金銭感覚のなさってやつね……。 |
リタ | いい ? テュオハリム。ここにいるおっさんを除いて普通の人は脈絡もなくお金を貰ってもただ驚くだけ。息災を祈られてるとは思いもしないわ。 |
テュオハリム | ふむ、もっともな意見だ。 |
リタ | そ。どうしてもあげたいってんなら、包むのは少しだけでいいんじゃない ?昔は餅でも物でも何でもよかったみたいだし。 |
テュオハリム | なるほど。餅でも、物でも、か。せっかくだ。何か彼らが喜ぶものを包もう。まずアルフェンは……。 |
リタ | まあ大前提としてアルフェンは子供じゃないんだけどね。 |
レイヴン | まあまあ、いいじゃないのよ。大切な仲間が元気でいられますようにって祈りを形にする機会があっても。 |
リタ | ま、そうね。 |
キャラクター | 導く者たち |
テュオハリム | ここは居心地の良いところだな。静かに酒を楽しむことができる。 |
ガイアス | 俺も気に入っている。以前知り合った男に教えてもらった場所だ。 |
テュオハリム | 相変わらず人脈が広い。これも市井調査の賜物かね。 |
ガイアス | ああ。だが、依然として民たちが抱えている問題は山のようにある。 |
テュオハリム | それを解決する為に、君は今後も『アースト』として活動を続けていくつもりなのか。 |
ガイアス | 無論だ。それが俺の使命だからな。 |
テュオハリム | 使命……か。 |
テュオハリム | ガイアス、ずっと君に聞いてみたいと思っていたのだが君にとって、王とはなんだ ? |
ガイアス | ……では、逆に問おう。お前は、何故それが知りたい ? |
テュオハリム | ……私も元の世界では〈王〉を目指さねばならぬ人間だったのだ。 |
テュオハリム | 君たちが指す王とは異なる部分もあるだろうが人の上に立つという性質は同じだと考えてもらっていい。 |
テュオハリム | だからこそ、私は知りたいのだ。君が何故、自らの意志で王の道を選んだのか。 |
ガイアス | ならば、答えは簡単だ。力ある者が道を示し、多くの民を導く。それが俺の為すべきことだったからだ。 |
テュオハリム | 力による支配……とは違うのだな。 |
ガイアス | ああ。それでは人々の心は疲弊し、不満に溢れ、やがて反乱の炎となる。 |
ガイアス | 俺が目指す王は、弱き者たちを救い導く。そして、俺自身が民たちの目指すべき象徴となることだ。 |
テュオハリム | そうか。君には強固な理想と意志があるのだな。やはり……私は〈王〉に相応しくない人間だったのだろう。 |
ガイアス | ……お前がそう判ずる心情を問うつもりはない。 |
ガイアス | だが、周りの人間も同じような言葉をお前に発したのか ? |
テュオハリム | それは……。 |
ガイアス | お前に対して、希望や未来を見出した者たちがいたのではないか ? |
ガイアス | そして、それに応えるだけの力がお前にはあったのだろう。 |
テュオハリム | 随分と、私のことを買い被ってくれるのだな。 |
ガイアス | 人を見る目はあるつもりだ。それに、お前の仲間たちの態度を見ればおおよその検討がつく。 |
テュオハリム | 彼らも、私に期待をしていると ? |
ガイアス | 少なくとも、頼れる間柄であるのは確かだろう。 |
テュオハリム | ……やはり、君と言葉を交わすのは私にとっては有意義な時間となりそうだ。 |
ガイアス | ならば、思う存分話せ。酒ならいくらでも付き合おう。 |
テュオハリム | ああ……こういう夜を過ごすのも悪くはないな。 |
キャラクター | 自立への道 |
ルーク | ……俺たちに何の用だって ? |
テュオハリム | 少々、言い方が迂遠すぎたかな。つまり私は、先達たる君たちの味わったであろう苦心惨憺から学びを得んと―― |
リチャード | ええと……つまり、自立するにはどうすればいいか聞きたいってことかな ? |
テュオハリム | 簡単に言えば、そういうことだ。聞けば君たちも従者に囲まれて暮らしていたという。 |
ルーク | 最初からそう言ってくれっての。……でも、俺にいい助言ができるかあんまり自信はないぜ。 |
ルーク | 確かに、昔ほど全部人任せじゃないけどさ。まだ色んなこと、ガイやみんなに頼っちまってるし。 |
テュオハリム | ふむ。服を一人で着たりは ? |
ルーク | いや、それぐらいはできるっつーの。さすがに馬鹿にしすぎだろ。 |
リチャード | ……まさか、できないのかい ?テュオハリム。 |
テュオハリム | ……その話はまた別の機会としよう。金銭感覚についてはどうかね ?私はどうやら散財しがちのようだ。 |
リチャード | そうだね……昔のように、豪華なものばかりに囲まれて暮らすわけにはいかないのは確かだ。 |
リチャード | とはいえ、国の財政だって無限ではなかった。民を思えば無駄遣いはできないからね。節約が必要なのは同じだよ。 |
ルーク | 俺はそこまで考えてるわけじゃないけど……。まあ、金がなきゃ買えないもんは買えないだろ ?財布の金より高いもの買う奴もいないだろうし。 |
テュオハリム | …………ふむ。 |
リチャード | ……まさか、所持金以上のものを買おうとしたのかい ?テュオハリム。 |
テュオハリム | 珍しい骨董品を見つけてしまってね……。その古びたなかにも美しく響く呼び声に抗うことなどできようはずもなかった。 |
ルーク | いや、そこは抗えよ ! |
テュオハリム | 幸い、所持していた宝石などを交換して無事に手に入れることができたがね。キサラには厳しく説教をされた。 |
リチャード | キサラさんの苦労が偲ばれるね……。 |
テュオハリム | ……ふむ。君たちとの話で、改めて気づかされた。どうやら私は、自覚していた以上に自立から遠いところにいるようだ。 |
ルーク | そう、みたいだな……。ちょっと気づくの遅いと思うけど。 |
リチャード | どうして、そんなに自立を望むんだい ?確かに大事だけど、急にできることじゃないのは理解しているんだろう。 |
テュオハリム | ……うむ。私も一時とはいえ領将を務めた身。戦いや実務において他者に遅れるつもりはないが……こと日常生活においては周囲に頼りきりでね。 |
テュオハリム | 特に、キサラには日々心労をかけてしまっている。助け合うのが友人だとて、助けられてばかりではやはり申し訳なく思うのだ。 |
リチャード | なるほど。つまり、キサラさんにいいところを見せたいと ? |
ルーク | いや、そういうことじゃないだろ。 |
テュオハリム | そういうことでないとも言い切れないな。 |
ルーク | どっちなんだよ ! ?……まあ、頼りっぱなしが嫌だって気持ちはわかるぜ。少しずつできることを増やすしかないんじゃないか ? |
リチャード | そうだね。僕たちでよければ、手を貸すよ。徐々に練習していこう。 |
テュオハリム | おお、礼を言うぞ、二人とも。イルルケリス家の名にかけて我が自立の日は近い…… ! |