プロフィール
孤児の少女は、いつか売られる『商品』として育てられた。彼女が生きる暗い世界に差すたった一つの光は、優しく正しい心を持つ少年だった。汚れを知らず、人間の隠された醜さも見たことがない無垢な光。少年の手が血で汚れてしまった時、彼女はためらわず自らの手を罪の炎に焦がした。自分を救ってくれた彼の尊さを、何に代えても守るため。その強い炎は、少年を脅かすならどんな相手でも揺らぐことはない。
ミリーナの一言
ミゼラがつけている可愛い花飾りは、シラヌイの花っていうそうよ。綺麗な花だけれど茎は強くて、外敵には発火性の鱗粉を撒くんですって。まるでミゼラそのものみたいね。可愛くて儚げにも見えるけれど、カナタのためならどこまでも強くなれる激しさがある。カナタを守ろうとして戦う時のミゼラの表情は、時々怖いくらいだわ。でも私は、そんなところもまたミゼラの可愛さだと思うのよね。
イクスの一言
不思議なんだけど、ミゼラと話すとどんな話をしてても、いつの間にかカナタのことになっているんだ。誰かのことをそこまで思えるのって、すごいと思う。いつもカナタを心配して、カナタのためにって考えてる。だけど、決して自分がないわけじゃないんだ。カナタを思うことで、ミゼラ自身が強くなれるのかもしれない。おかしな言い方かもしれないけど、そんなミゼラのことを少し格好いいなって思うよ。
キャラクター | 肉を求めて |
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ミゼラ | このアジトはいつでも美味しいごはんが食べられて本当にいいところだね。 |
エル | うん ! みんな料理上手だし !パパほどじゃないけど。 |
ミゼラ | でも……ここには足りないものがあると思う。 |
エル | えっ、なになに ? |
ミゼラ | それは、『お肉』よ。 |
エル | おニク ? お肉料理もいっぱいあるよ ?ルドガーの料理にもよく入ってるし……。 |
ミゼラ | 違うの……これだけじゃ足りない。食卓にお肉はいくらあっても困らないから。お肉のおかずにお肉を食べるぐらいでいいの。 |
エル | お肉のおかずにお肉 ! ?そんなのアリなのかなー…… ? |
ミゼラ | だって、お肉は美味しいから。美味しいものはいくら食べてもいいんだよ。 |
エル | そ、そうかも……ううん、やっぱりダメだって !エーヨーのために好き嫌いはよくないんだよ。エルだってトマト以外は野菜も食べるし。 |
ミゼラ | よく考えてみて。動物は草を食べるでしょう。だから、草を食べた動物の肉を食べるのは草を食べるのと一緒なんだよ。 |
エル | えっ…… ! ?ホ、ホントだ…… ! ! |
シェリア | ホントじゃありません !日々の献立は、ちゃんとバランスを考えてるんだから変なことを吹き込んじゃダメよ。 |
ミゼラ | いいえ、間違ってるのはシェリアのほう。肉は最高のバランス栄養食なの。なぜなら動物は自分の足で立っているから。 |
シェリア | え ? どういうこと…… ? |
ミゼラ | 牛や豚はちゃんと地面に足をついて立ってる。野菜はただ地面に埋まっているだけ……。つまり、バランスがいいのは動物。つまりお肉。 |
エル | すごーい ! ミゼラ、頭いいね ! |
シェリア | それは、ただの屁理屈でしょ。……確かにお肉は美味しいわよ。でも、それだけじゃ健康に良くないわ。 |
ミゼラ | シェリアの好きな料理は何 ? |
シェリア | え ? それは、焼き鳥丼だけど……。 |
ミゼラ | シェリアは焼き鳥丼に飽きたことってある ? |
シェリア | 飽きるわけないじゃない。女は黙って焼き鳥丼 !毎日だって食べられ――はっ ! |
ミゼラ | そう。焼き鳥丼はお肉だよ。やっぱり、お肉は最高。お肉が究極。他には何もいらないの。 |
エル | お肉はサイコー ! お肉がキューキョク ! |
シェリア | で、でも、焼き鳥丼にはお米だって……いえ、そもそもなんでこんな話になったの…… ? |
ミゼラ | それは、お肉が足りないから。みんなでお肉を食べれば幸せになれるよ。 |
シェリア | ……もう、わかったわ。今日の夕食はお肉料理を多めにするわね。私もなんだかお肉が食べたくなってきたし。 |
エル | やったー ! |
ミゼラ | この調子でみんなを説得していけばきっと毎日、毎食お肉だけにできるはず……。 |
シェリア | ……そうなる前に、ミゼラに野菜も好きになってもらわないとアジトの食生活の危機だわ……。 |
キャラクター | キラキラを克服せよ |
ミリーナ | あ、ミゼラ ! ちょうどいいところにいたわ。これからエドナ様とお茶会をするところなの。ミゼラも一緒にどうかしら ? |
ミゼラ | お茶会…… ?それって、お茶を飲む集まり ? |
ミリーナ | ええ、そうよ。お茶を飲んで、お菓子を食べながらお話する会よ。 |
ミゼラ | ! それって、つまり……女子会ってこと ? |
ミリーナ | まぁ、大体そんな感じかしら ?でも別に女の子だけが来るわけではないわよ。 |
ミゼラ | ……わかった。私、やってみる。一度はくじけてしまったけど、今ならこの試練も乗り越えられるかもしれない…… ! |
ミリーナ | …… ? そんなに気構えなくても大丈夫よ。ほら、遠慮しないで座って ! |
ミゼラ | え、ええ……。 |
エドナ | その子がミゼラ ? |
ミリーナ | ええ、とっても可愛いでしょう !可愛いといえば……はい、この新作お菓子をどうぞ。今回はいつもより見た目に凝ってみたの。 |
エドナ | 悪くはないわね。最近のおやつでは中の上。 |
ミリーナ | 気に入ってもらえて良かったわ !イクスにも味見してもらったんだけど、イクスったら食べる時にクリームが鼻について……ふふっ。 |
ミゼラ | キラキラしたお菓子……。キラキラしたお茶……。キラキラした話……。 |
エドナ | ミリーナ。その子、さっきから目を回してるみたいだけど。 |
ミゼラ | キラキラが……グルグルして……。うっ……。 |
ミリーナ | ミゼラ ! ど、どうしたの ! ?具合でも悪いの ? |
ミゼラ | 大丈夫……だと思う。ちょっとキラキラに酔ってしまっただけだから。 |
ミリーナ | キラキラに酔う…… ? |
ミゼラ | ……私が育った修道院では、こういう可愛いお菓子とか男の子の話とか、そういうキラキラしたものが全然なかったから……体が慣れていないの。 |
ミゼラ | 前にも、仲間のユナと一緒に女子会に行って気持ち悪くなって吐きそうになったりしたわ。黙っていてごめんなさい、ミリーナ。 |
ミリーナ | いいえ、知らずに誘ってごめんなさい。今はゆっくり休んで。部屋まで送っていくわ。 |
ミゼラ | ……いいえ、待って。私、このままお茶会に参加したい。 |
ミリーナ | え ? でも……。 |
ミゼラ | いつまでもキラキラを怖がっていられないわ。 |
ミゼラ | だから、身に付けたいの…… !キラキラにも負けない、強い心を。そのためにお茶会で修行させて ! |
エドナ | 別に構わないわよ。ここで吐かなければね。 |
ミリーナ | ミゼラがそこまで言うなら……。でも、体調にはくれぐれも気をつけてね。 |
ミゼラ | 大丈夫、水を飲めば良くなるから。キラキラ酔いには水が効くの。 |
ミゼラ | 私、女子会を克服してみせるわ。いつかまた、ユナと女子会ができるように。 |
キャラクター | たとえ孤独な世界でも |
ミゼラ | …………。 |
カナタ | あっ、ミゼラ !何してるの、こんなところで ? |
ミゼラ | カナタ。ううん、別に何かをしてたわけじゃないの。ただ、少し風に当たろうと思って。 |
カナタ | そっか。今日はいい天気だもんね。海も穏やかで気持ちいいよ。 |
ミゼラ | ……ねえ、カナタ。カナタはこの海がどんな風に見える ? |
カナタ | どんな風に…… ?えっと、青くて綺麗……とか ? |
ミゼラ | ……そうだね。でもね、この海域にはサメやシャチみたいな危険な生物がいっぱいいるの。 |
カナタ | そうなの ! ?じゃあ、落ちないように気を付けなきゃ。 |
ミゼラ | …………。 |
カナタ | ……どうしたの、ミゼラ。なんだか顔色が悪いよ ?もしかして、サメやシャチが怖かった ? |
ミゼラ | ……ううん、平気。ただ、私が生きてきた世界もこの海と同じだったんだなって思っただけ。 |
カナタ | えっ……どういうこと ? |
ミゼラ | 私の世界は外から見れば綺麗で穏やかな場所だったけれど、沈んだ私は息もできなくて底にある危険にいつも怯えてた。 |
ミゼラ | ……でもね、顔を上げたらちゃんと光があってたとえ手が届かなくてもいつも私を照らしてくれていた。 |
ミゼラ | だから、私はその光を守りたいの。世界がどんなに汚れていたとしてもその光だけは失わせない。 |
カナタ | ミゼラ……。 |
ミゼラ | ごめんなさい、変なこと話しちゃったね。一人で風に当たってたせいかも。 |
カナタ | ねえ、ミゼラ。ミゼラの世界は、今も同じなの ? |
ミゼラ | えっ……。 |
カナタ | もしそうだったら、俺はミゼラをその世界から助けたい。 |
カナタ | ミゼラがどんな場所にいても俺は追いかけて手を伸ばすから。 |
ミゼラ | ……うん、カナタならそう言ってくれると思ってた。でも、大丈夫だよ。 |
ミゼラ | 私の世界は、もう変わったの。カナタが……変えてくれたから。 |
カナタ | えっ ? 俺が ?俺、何かしたかな…… ? |
ミゼラ | ううん、カナタはいてくれるだけでいいの。それが私にとっての、大切な世界だから。 |
カナタ | そっか。だったら、俺はそのミゼラの世界をちゃんと守らなきゃね。 |
ミゼラ | ……うん。ありがとう、カナタ。 |